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障がい福祉のあれこれCOLUMN

就労継続支援B型は在学中でも利用できる?大学生や高校生は?年齢制限も解説!

  • 高校や大学に在学中でもB型事業所に通えるの?
  • 年齢制限は?18歳以下でも通えるの?

この記事ではこのようなお悩みを解決します。

在学中に就労継続支援B型事業所の利用が可能かというご質問を受ける事があります。「まだ学生だし18歳以下だから…」といった理由で諦めている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

就労センターの実状をお伝えしますと、利用者さんの中に在学中の方はいませんが18歳未満の方は多数いらっしゃいます。また、全国にあるB型事業所の中には、在学中(18歳未満)でも利用しているケースがあります。

在学中や年齢制限を理由にB型事業所の利用を迷っている方は、ぜひ最後まで当記事をお読みになり参考になさってください。

B型事業所の在学中利用は難しいが例外もある

B型事業所の在学中利用は難しいが例外もある

まず始めに結論からお伝えすると、学校に在学中の方でも就労継続支援B型の利用について特別な制限は設けられていませんが、利用申請をしても市町村に却下されてしまうケースがほとんどです。

具体的にどのような理由で却下されてしまうのか確認していきましょう。

高校や大学に在学中の場合

B型事業所は法律上、「通常の事業所で雇用されることは困難で、雇用契約に基づく就労が困難な方」と定義されており、市町村判断によって18歳未満の利用も可能ですが、原則、教育機関在学中の利用は想定されておりません。

就労支援サービスではありませんが、居場所が必要・生活リズムを作りたい等の本人ニーズがある場合は、地域活動支援センターや日中一時支援など、別の障害福祉サービスの利用を検討しましょう

地域活動支援センターとは

障害のある人を対象として、創作的活動や生産活動、社会との交流促進等の機会を提供する障害者総合支援法に基づく支援機関のこと。

日中一時支援とは
障害者や障害児に活動の場を提供し、日常的に介護している保護者や介護者の一時的な休息を目的とした福祉サービスのこと。

特別支援学校に在学中の場合

特別支援学校の生徒は、進路を決めるための実習としてB型事業所を年1~2週間利用する事はありますが、在学中は普通学校と同じく学生のため、利用は難しいと言えるでしょう。

また、特別支援学校に在学中の生徒が卒業後すぐにB型事業所の利用を希望する場合は、就労アセスメントを受ける必要があります

就労アセスメントとは

就労を希望する障害当事者にとって最も適した障害福祉サービスを選択できるように、作業能力や生活能力などに関する評価を行うこと。

就労アセスメントは就労継続支援B型の適否の判断だけではく、色々な可能性を視野に入れて行われるため、B型事業所の利用が確約されるものではありません。

在学中でも利用が許可されるケース

在学中でも利用が許可されるケース

特別な制限がないとは言え、学生がB型事業所を利用することは現実的でないと言えますが、ごく稀に学生であっても利用申請が許可されることがあります。

どのような場合に許可されるのか、過去の事例をご紹介します。

定時制の学校に通っている

夜間帯の定時制に通っている場合、日中就労が可能とみなされ利用が許可されるケースがあります。在学中で許可された方のほとんどがこのケースになります。

通信制の学校に在学している

通信大学などの場合、履修する科目によっては聴講生(正規の学生ではなく、特定の授業だけを聴講できる資格を有した者)と捉えられ、利用許可が下りる場合があります。

 
上記はあくまで過去の一例で、支給決定(B型事業所の利用許可)の最終的な判断は市町村になります。詳細はお住まいの市町村役場にお問い合わせください。
障害があっても働きたい障害があっても働きたい

18歳未満のB型事業所の利用について

18歳未満のB型事業所の利用について

ここまでの説明で在学中にB型事業所を利用することは難しいとご理解いただけたのではないでしょうか。

続いては、在学中の利用に次いでご質問の多い18歳未満の利用について見ていきましょう。

B型事業所の利用に際して年齢制限の上限はありませんが、下限は義務教育の兼ね合いから15歳以上となっています。但し、18歳未満の利用については児童相談所長から意見書が必要になります。

15歳以上の障害児については、児童相談所長が障害者のサービスを受けることが適当と認め、その旨を市町村長に通知した場合は、この通知に係る障害児を障害者とみなして訓練等給付費等の対象とすることとなっています。

引用元:障害者就労支援マニュアル

全国でB型事業所を利用している障害者のうち、18歳未満の障害児は全体の約0.05%です。決して多くはありませんが、18歳未満でもB型事業所を利用されている方が実際におられます

B型事業所の年代別利用状況
年代 利用人数
18歳未満 125
18歳以上 20歳未満 5,371
20歳以上 30歳未満 48,619
30歳以上 40歳未満 46,339
40歳以上 50歳未満 53,818
50歳以上 60歳未満 36,974
60歳以上 65歳未満 14,699
65歳以上 14,802

参考:厚生労働省 平成28年12月「就労継続支援B型の年齢階層別の利用状況

18歳未満でB型事業所の利用許可が出た事例

18歳未満でB型事業所の利用許可が出た事例

実際に18歳未満で就労センターに通所することになった事例を2つご紹介します。

18歳未満で学校に通っていない

16歳で学校に通っていなかったAさん。中学3年生までは義務教育なので就労系サービスを利用することはできませんが、15歳以上で進学しなかった児童もしくは退学した児童は学生ではなくなるため、B型を利用することになりました。

児童養護施設に入所中

児童養護施設に入所していたBさん。児童養護施設には保護者のいない児童、虐待されている児童などが在籍していますが、児童養護施設は教育機関ではないため、こちらに入所していたBさんも利用されております。

対象となる障害児

18歳未満でB型事業所の利用対象となるのは、「児童相談所長の許可(意見書)を得た障害児」に限ります。

特別支援学校の例でもお伝えしましたが、18歳未満であっても職歴のない児童がB型事業所の利用を希望する場合は、就労移行支援による就労アセスメントを受ける必要があります。

その結果、B型事業所の利用が適切だと判断された障害児が対象となります。

18歳未満でB型事業所を利用するための就労アセスメントを希望する方は、関わっている相談支援専門員もしくはお住まいの市町村の福祉課にお問い合わせください。

障害児とみなされるか否かについては概ね以下のような基準で判定されますが、利用要件は市町村によって判断が異なりますのでご留意ください。

障害児か否かの判断基準
  • 身体障害者手帳、精神保健福祉手帳、療育手帳が交付されている
  • 手帳は所持していないが自立支援医療制度を用いている
  • 医療機関や児童相談所などから支援の必要性を言及されている
  • 特別児童扶養手当等が支給されている

18歳未満のB型事業所利用の流れ

18歳未満のB型事業所利用の流れ

18歳未満であっても、児童相談所長の許可があれば18歳以上の利用の流れと大差はありません。具体的な流れは以下の通りです。

  • STEP1
    主治医に相談する
    必ず必要ではありませんが、安心して利用するためにB型事業所を利用したい旨を主治医に相談し、就労可能か?障害福祉サービスを利用しても良いか確認しましょう。
  • STEP2
    関わっている相談支援専門員もしくは市町村福祉課に相談する
    18歳未満でB型事業所を利用したい旨を伝えます。利用が適当と判断されれば、児童相談所長の利用許可を含め、利用に向けた流れを説明してもらえます。
  • STEP3
    B型事業所の見学・体験をする
    お住まいの地域にあるB型事業所で見学や体験をして、自分に合った安心して利用できそうな事業所を探します。
  • STEP4
    サービス等利用計画書の作成・提出
    B型事業所を利用するために市町村の許可(支給決定)が必要になりますが、市町村は「サービス等利用計画書」という書類を見て、B型事業所の利用が適切かどうか判断します。サービス等利用計画書には、1週間の生活リズム、苦手な事などが記載されています。サービス等利用計画書

    サービス等利用計画書
    サービス等利用計画書は自分自身で作成することもできますが、相談支援専門員という方に無料でお任せすることもできます

  • STEP5
    サービス利用受給者証の交付
    市町村の許可(支給決定)がおりると、B型事業所の利用に必要な「受給者証」が発行されます。市町村によって異なりますが、約2週間~2ヶ月ほどで交付される事が多いです。サービス利用受給者証 受給者証
  • STEP6
    B型事業所と利用契約をする
    受給者証が交付されたらB型事業所と契約をして利用開始となります。

18歳未満の利用料金

障害者向けの施設であるB型事業所を利用する場合、18歳未満であっても障害児ではなく障害者とみなされるため、18歳以上の利用料金が適用される事になります。※サービス利用受給者証も「障害者」として発行されます。

B型事業所の利用料金は原則1割が利用者負担となりますが、前年度の世帯収入によって自己負担額の上限が定められています。

B型事業所の利用者負担上限月額
区分 世帯の収入状況 負担上限月額
生活保護 生活保護受給世帯 0円
低所得 市町村民税非課税世帯(注1) 0円
一般1 市町村民税課税世帯(所得割16万円未満※注2)
入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者を除く(注3)
9,300円
一般2 上記以外 37,200円

(注1)3人世帯で障害者基礎年金1級受給の場合、収入が概ね300万円以下の世帯が対象
(注2)収入が概ね600万円以下の世帯が対象
(注3)入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者は、市町村民税課税世帯の場合、「一般2」

参考:厚生労働省「障害者の利用者負担

 
世帯構成や市町村によっても異なりますので、詳細はお住まいの市町村役場にお問い合わせください。

18歳未満の障害児が利用できる障害福祉サービス

18歳未満の障害児が利用できる障害福祉サービス

18歳未満でも児童相談所長の許可があれば利用できる福祉サービスは就労支援だけではありません。

以下にサービス一覧をまとめましたので、参考になさってください。

18歳未満でも利用できる福祉サービス
分類 サービス名
訪問系 重度訪問介護
日中活動系 療養介護、生活介護
施設系 施設入所支援
居住支援系 自立生活援助
共同生活援助(グループホーム)
訓練系・就労系 自立訓練
就労移行支援
就労継続支援(A型)
就労継続支援(B型)
就労定着支援
相談支援 地域移行支援
地域定着支援

在学中でも利用できるB型以外の就労支援サービス

ここまでは在学中または18歳未満のB型事業所の利用について見てきましたが、ここでは在学中でも利用できるB型事業所以外の就労支援サービスをご紹介します。

就労移行支援は在学中でも利用可能

結論をお伝えしますと、学校に在学中でも利用できるB型以外の就労支援サービスは「就労移行支援」になります。

就労移行支援は、障害のある方に対して一般企業へ就職するためのサポートを通所型で行う就労支援サービスです。

就職に向けての準備から職場探し、就職後の定着支援まで、一般企業で長期に渡り安定して就労するためのサポートを幅広く行ってくれます。

就労移行支援の主なサービス内容
就職するまで 就職後
  • 就労に必要な知能や能力の向上
  • ビジネスマナー、挨拶、身なりの習得
  • 体調管理やコミュニケーションの強化
  • 職場見学、実習
  • 職場開拓、応募書類作成、面接サポート
  • 定期的な面談
  • 企業への環境調整依頼 など

就労移行支援の利用条件

就労移行支援の利用条件

就労移行支援はすべての学生が利用できる訳ではなく、下記の3つの条件を満たしている必要があります。

年齢 原則18歳以上から65歳未満
対象者 身体・知的・精神障害や難病のある方
利用期間 原則2年(必要性が認められれば、最大12ケ月の更新が可能)

対象者については、障害者手帳を所持していなくても、医師の診断書や意見書があれば利用対象となります。詳しくは市町村の福祉課にお問い合わせください。

大学や専門学校に在学中の利用

前述の通り、B型事業所は日中に授業のある学生の利用は困難と言えますが、就労移行支援については、大学や専門学校に在学中の方でも市町村の裁量によって利用可能となっています。

厚生労働省も以下に該当する方の利用について差し支えないとの見解を示しています。

  1. 大学や地域における就労支援機関等による就職支援の実施が見込めない場合、又は困難である場合
  2. 大学卒業年度であって、卒業に必要な単位取得が見込まれており、就労移行支援の利用に支障がない者
  3. 本人が就労移行支援の利用を希望し、就労移行支援の利用により効果的かつ確実に就職につなげることが可能であると市町村が判断した場合

引用元:平成29年度「障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A

上記の通り、最終的には市町村に判断を委ねることになりますが、卒業が見込まれている大学生などは利用対象となっています。

在学中から就労移行支援を利用するメリット

在学中から就労移行支援を利用するメリット

就労移行支援を在学中から利用するメリットは決して少なくありません。

高校生についても、夏休みなどに見学会や体験会などを実施している事業所もあるので、卒業後の利用を視野に入れている方はぜひ参加してみてはいかがでしょうか。

在学中から就労移行支援を利用するメリット
  • 就職するまでの期間を短縮できる
  • 社会生活に向けた準備ができる
  • 自分に向いている仕事が見つかりやすい

就職するまでの期間を短縮できる

学校を卒業してから就労移行支援を利用する場合、卒業してから様々な職業訓練や職場体験を経て就職することになり、何かと時間がかかってしまいます。

しかし、在学中から就労移行支援を利用すれば、在学中に就職先が見つかる可能性も充分にあり、卒業後すぐに社会人として新たな生活を始めることも夢ではありません。

在学中は学業もあり就労移行支援の利用が難しく思えるかもしれませんが、学校とも連携したサポートを受けられるので無理なく通うことができます。

社会生活に向けた準備ができる

ひとたび社会に出れば、社会人としての責任や立場を自覚し、自ら給与を稼いで自立していくための思考に切り替えなければなりません。

入社後も学生気分が抜けずに周りから置いていかれ、せっかく入社した会社なのに早期退職してしまうケースも少なくありません。

在学中から就労移行支援を利用することによって、学生から社会人へ徐々に思考を切り替え、無理なく社会生活に向けた準備を行うことができます

自分に向いている仕事を見つけやすい

就労移行支援事業所には、障害者支援ついて熟知したサポート経験豊富な専門スタッフが在籍しています。

障害者それぞれの特性を見極めたうえで仕事探しをしてくれるので、自分に向いている仕事が分かってくるようになります。

応募の際も専門スタッフが企業側に障害特性などを伝えてくれるので、採用のミスマッチも減り、企業側にとっても安心して人材採用が行えるメリットがあります。

 
就労移行支援は、原則、工賃の支給はありませんので注意しましょう。工賃や送迎、食事などを希望される方はB型事業所の利用をお勧めします。
障害があっても働きたい障害があっても働きたい

よくある質問

在学中の方からよくある質問

在学中の方からよくいただく質問をまとめました。さらにご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

Q.就労支援サービスは障害者手帳がなくても利用できますか?

障害者手帳がなくても利用できます。

就労支援サービスの利用に必要なものは障害福祉サービス受給者証です。障害福祉サービス受給者証は一般的に「受給者証」と呼ばれ、申請は市町村の福祉課窓口で行います。

障害者手帳が交付されていない人でも、主治医の診断書や自立支援医療受給者証があれば障害を証明できるので受給者証を申請できます。

Q.B型事業所から一般企業へ就職できますか?

B型事業所から一般企業へ就職される方も多くいらっしゃいます。就労センターの利用者さんも事務、軽作業、清掃など、様々な職場に就職しています

障害や病気の状況によっては一般就労が難しい場合もあるため、B型事業所では、自分のペースで利用することができ、生活リズムを整えたり、働くことに慣れていくことから始めることが可能です。

Q.B型事業所と放課後等デイサービスを併用できますか?

基本的には併用可能ですが、市町村によって判断が異なる場合があります。

就労移行支援に関して厚労省は以下の見解を示していますが、同じ就労支援サービスであるB型事業所も同様の扱いと考えられます。

障害者総合支援法において障害者とみなした場合であっても、児童福祉法においては障害児として取り扱われるため、児童福祉法に基づくサービスである放課後等デイサービスを利用することは可能です。ただし、同一日に放課後等デイサービスと就労移行支援事業を利用することはできません。

引用元:障害者就労支援マニュアル

同一日のB型事業所と放課後等デイサービスの併用可否も含め、詳細は市町村の福祉課にお問い合わせください。

Q.B型事業所とアルバイトを併用できますか?

原則、B型事業所とアルバイトの併用はできません。

B型事業所はあくまで一般就労が困難な方に対するサービスですので、アルバイトが可能な場合、B型事業所の利用が適切でないと考えられています。

市町村によっては障害特性等を考慮し、例外的に許可されるケースもありますが、基本的にアルバイトとの併用は難しいと覚えておきましょう。

Q.受給者証がなくても見学・体験できますか?

もちろん可能です。

受給者証の取得手続きについてもご案内いたしますので、お気軽にご相談ください。

まとめ

【まとめ】就労継続支援B型の在学中利用について

18歳未満であっても、学校に通ってなかったり、児童相談所長が許可した障害児、定時制や通信制学校の学生であれば、B型事業所を利用できる可能性があると覚えておきましょう。

いずれの場合も利用可否の最終判断は市町村になりますが、利用手続きや申請方法、就労センターの見学体験などについて詳しくお知りになりたい方はお気軽にお問い合わせください。

監修行政書士 有元 吉野

2014年に行政書士資格取得後、行政書士法人にて研鑽を積み、2016年から障害福祉分野に注力。福祉事業所には欠かせない都道府県・市町村への各種申請件数は100件以上。
また、福祉施策調査を実施し、障害福祉事業所に対し、運営提言も行っている。「行政書士ありもと法律事務所」の代表行政書士でもある。

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