- 就労支援って何?どんな種類があるの?
- 就労移行支援と就労継続支援A型B型の違いって何?
- 就労支援の利用の流れや利用料、対象者を知りたい
この記事ではこれらの疑問について、詳しく解説します。
就労支援は、障害や難病があり一般企業ですぐに働くことが難しい人に向けて提供される障害福祉サービスのひとつです。
今回は、就労支援の種類やサービス内容、向いている人などについて詳しくご紹介します。ぜひ最後までお読みください。
目次
就労支援とは?就労移行支援と就労継続支援の違い

就労支援とは、障害や難病で働くことに何らかの困難を抱えている人が利用できる、障害者総合支援法に基づいて提供される障害福祉サービスのひとつです。
4種類の就労支援について
障害福祉サービスは全部で18種類に分けられていますが、その中で、就労支援のサービスは4つです。
- 就労移行支援
- 就労継続支援A型
- 就労継続支援B型
- 就労定着支援
それぞれ対象者やサービス内容が違い、自分に合ったサービスを選ぶことができます。
就労移行支援と就労継続支援の違い
まずは就労移行支援と就労継続支援の違いについて見ていきましょう。
| 就労移行支援 | 就労継続支援 | |
|---|---|---|
| 主な目的 | 一般企業への就労 | サポートを受けながら生産活動(仕事)を継続して行うこと |
| 対象者 | 一般企業で働けると見込まれる障害者 | 一般企業で働くことが難しい障害者 |
| 賃金 | 発生しない | 発生する |
| 主なサービス内容 | 訓練 (ビジネスマナー講義・作業訓練・就職活動のサポートなど) |
生産活動 (軽作業・掃除・販売など) |
就労移行支援の目標は一般就労で、一般企業で働くことを見据えたトレーニングをします。訓練を積む場のため、賃金も発生しません。
一方、就労継続支援の場合は、事業所内でサポートを受けながら、継続して生産活動を行うことを目指します。事業所内で働くため、工賃やお給料を受け取ることができます。
就労継続支援から一般企業に就職する方もいますが、大きく分けると、一般就労を目指して訓練を積む場が就労移行支援、サポートを受けながら働く場所が就労継続支援という違いがあります。
それぞれの対象者やサービスの詳細はこれから詳しくお伝えしていきます。
就労移行支援とは?
就労移行支援とは、一般企業に就職するための訓練やサポートを受けることのできるサービスです。
障害者総合支援法では、次のように定義されています。
就労を希望する65歳未満の障害者で、通常企業等に雇用されることが可能と見込まれる者に対して、生産活動、職場体験、その他の活動の機会の提供を通じ、就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練、求職活動に関する支援、その適性に応じた職場の開拓、および就職後における職場への定着のために必要な相談等の支援を行う
引用元:厚生労働省「障害者福祉施設における就労支援の概要」
対象者
就労移行支援の対象者は、次の通りです。
つまり、65歳未満の障害者で、訓練を積めば一般企業で働くことができると見込まれる人が利用の対象となります。
受けられるサービス
就労移行支援では、一般企業で働くことを想定した上で必要な訓練を、原則2年間の期限付きで受けることができます。
サービス内容は次のように定められています。
- 一般就労等への移行に向けて、事業所内での作業等を通じた就労に必要な訓練、適性に合った職場探し、就労後の職場定着のための支援等を実施
- 通所によるサービスを原則としつつ、個別支援計画の進捗状況に応じ、職場実習等によるサービスを組み合わせた支援を実施
- 利用者ごとに、標準期間(24ヶ月)内で利用期間を設定
※市町村審査会の個別審査を経て、必要性が認められた場合に限り、最大1年間の更新可能
参考:厚生労働省「障害者の就労支援について」
事業所によってサービスの形は様々ですが、一例として、このようなサービスを提供しています。
- 生活リズム構築やビジネスマナーに関するプログラム
- 軽作業やPC作業のスキルを高めるための作業プログラム
- 職業適性を知るための職業適性検査
- 面接同行や面接練習など就職活動のサポート
このほかにも、就労移行支援を利用して就職した場合、卒業後半年間は継続して働くための定着支援サービスを受けることもできます。
サービスを受けるメリット
就労移行支援でサービスを受けるメリットは次の通りです。
- 一般就労で必要な生活リズムを身につけられる
- 作業スキルを身につけられる
- 就職活動のサポートを受けられる
- 2年間の期限付きのため、メリハリのある就職準備ができる
就労継続支援とは

就労継続支援は、一般企業で就労することに課題を抱える障害者に就労の場を提供する障害福祉サービスです。
就労継続支援は、その対象者・サービス内容によって、A型とB型に分かれています。それぞれの違いを詳しく見ていきましょう。
就労継続支援A型
就労継続支援A型は、一般企業で働くことは難しいけれど、サポートを受けながらであれば雇用契約を結んで一定のリズムで働くことができる障害者に就労の場を提供するサービスです。
障害者総合支援法では次のように定義されています。
通常の事業所に雇用されることが困難な障害者のうち適切な支援により雇用契約等に基づき就労する者につき、生産活動その他の活動の機会の提供その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練その他の必要な支援を行います。
引用元:厚生労働省「障害福祉サービスについて」
対象者
就労継続支援A型の対象者は次の通りです。
つまり、一般企業で働くことは難しいけれども、サポートを受ければ継続的に一定のリズムで就労できる方が対象となっています。
受けられるサービス
就労継続支援A型で受けられるサービスは、サポートを受けながらの就労と、一般就労への移行訓練です。
サービス内容は次のように定められています。
- 通所により、雇用契約に基づく就労の機会を提供するとともに、一般就労に必要な知識、能力が高まった者について、一般就労への移行に向けて支援
- 一定の範囲内で障害者以外の雇用が可能
- 多様な事業形態により、多くの就労機会を確保できるよう、障害者の利用定員10人からの事業実施が可能
- 利用期間の制限なし
参考:厚生労働省「障害者の就労支援について」
実際に雇用契約を結んで仕事をするため、一般就労よりも手厚いサポートを受けながら、給与を受け取ることができます。
また、訓練を十分に積んだ後は、一般就労へ移行するためのサポートを受けることもできます。作業内容は事業所によって様々ですが、以下のような作業が用意されています。
- PC作業(データ入力、プログラミング、デザイン)
- 軽作業
- 洗濯、清掃
- 加工、配達
- 接客、販売
サービスを受けるメリット
就労継続支援A型でサービスを受けるメリットは次の通りです。
- サポートを受けながら就労できる
- 実際に働く中で就労準備を整えられる
- 利用期間の制限がない
- 労働基準法に基づく賃金がもらえる
就労継続支援B型

就労継続支援B型は、障害や体調によって一般企業で働くことや、雇用契約を結んで働くA型事業所での勤務が困難な方を対象とした福祉サービスです。
障害者総合支援法では次のように定義されています。
通常の事業所に雇用されることが困難な障害者のうち通常の事業所に雇用されていた障害者であってその年齢、心身の状態その他の事情により引き続き当該事業所に雇用されることが困難となった者、就労移行支援によっても通常の事業所に雇用されるに至らなかった者その他の通常の事業所に雇用されることが困難な者につき、生産活動その他の活動の機会の提供その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練その他の必要な支援を行います。
引用元:厚生労働省「障害福祉サービスについて」
このサービスを利用して、就労準備を整え、就労継続支援A型や就労移行支援に移行される方もいます。
対象者
就労継続支援B型の対象者は次の通りです。
つまり、障害福祉サービスを通じた一般就労が難しかった方や、就労継続支援A型のように一定のリズムで働くことは難しいけれど、就労の場があることで能力を高めていける方が対象となります。
受けられるサービス
就労継続支援B型で受けられるサービスは、生産活動と呼ばれる作業の提供や、一般就労等への移行に向けてのサポートです。
作業を行いますが、雇用契約は結ばないため、給料ではなく工賃と呼ばれる賃金を受け取ります。サービス内容は次の通り定められています。
- 通所により、就労や生産活動の機会を提供(雇用契約は結ばない)するとともに、一般就労に必要な知識、能力が高まった者は、一般就労等への移行に向けて支援
- 平均工賃が工賃控除程度の水準(月額3,000円程度)を上回ることを事業者指定の要件とする
- 事業者は、平均工賃の目標水準を設定し、実績と併せて都道府県知事へ報告、公表
- 利用期間の制限なし
参考:厚生労働省「障害者の就労支援について」
作業内容は事業所によって様々ですが、以下のような作業が行われています。
- 清掃
- クリーニング、PC(データ入力、メールでの顧客対応、ネットショップの出品)
- 軽作業(袋詰め、仕分け、もりつけ)
- 製造
就労継続支援A型と比較すると、特別なスキルが必要とされず、マニュアル化されている作業が多い傾向があります。
サービスを受けるメリット
就労継続支援B型でサービスを受けるメリットは次の通りです。
- 自分のペースで働ける
- 工賃をもらえる
- 能力を向上させれば、段階を踏んで一般就労へ移行できる
就労継続支援B型をお探しなら就労センターにご相談ください

就労センターでは、それぞれの方の障害に合わせた作業内容や環境を整えており、週1回、半日からの利用が可能なため、自分のペースで無理なく通うことができます。
また、一般的な就労継続支援B型作業と比較して工賃を高く設定しており、障害年金と合わせて自活されている方もいらっしゃいます。
一般就労や就労継続支援A型で働くことは難しいけれど、自分のペースでゆっくり作業に取り組みたい方は、ぜひ一度就労センターへお問い合わせください。
就職後の定着支援について
就労支援サービスを使って一般企業へ就労した後は、働き続けるためのサービスである就労定着支援を受けることもできます。
就労定着支援とは、就労支援サービスなどを利用して一般雇用に結びついた方が働き続けるために必要な相談やサポートを行うサービスです。
障害者総合支援法では、次のように定義されています。
生活介護、自立訓練、就労移行支援又は就労継続支援を利用して、通常の事業所に新たに雇用された障害者の就労の継続を図るため、企業、障害福祉サービス事業者、医療機関等との連絡調整を行うとともに、雇用に伴い生じる日常生活又は社会生活を営む上での各般の問題に関する相談、指導及び助言等の必要な支援を行います。
引用元:厚生労働省「障害福祉サービスについて」
対象者
就労定着支援の対象者は次の通りです。
就労支援サービスを利用した場合、半年間は同じ事業所で定着支援を無料で受けられます。その半年間が過ぎてから、定着支援サービスを利用できることになります。
受けられるサービス
就労定着支援では、同じ職場で働き続けるための相談や企業の環境調整、連携などのサービスを受けることができます。
サービス内容は次のように定められています。
- 障害者との相談を通じて日常生活面及び社会生活面の課題を把握するとともに、企業や関係機関等との連絡調整やそれに伴う課題解決に向けて必要となる支援を実施
- 利用者の自宅・企業等を訪問することにより、月1回以上は障害者との対面相当の支援
- 月1回以上は企業訪問を行うよう努める
- 利用期間は3年間(経過後は必要に応じて障害者就業・生活支援センター等へ引き継ぐ)
定着支援事業では、月1回以上の企業訪問などで面談、企業との調整を行い、障害者の就労定着をサポートしています。
会社の人にはなかなか相談できない悩みを相談したり、直接企業には伝えづらい配慮依頼を定着支援員を通じて伝えたりすることができます。
サービスを受けるメリット
就労定着支援でサービスを受けるメリットは次の通りです。
- 企業との環境調整をお願いできる
- 外部の相談先ができる
- 気持ちを吐き出せる場ができる
就労支援サービスから一般就労へ移行した方の推移
就労移行支援や就労継続支援を利用して一般就労へ移行した方はおおむね増加傾向にあります。

参考:厚生労働省「障害福祉サービスからの就職者について」
2022年のデータによると、就労支援サービスから一般就労への移行者は前年より増加しており、約2万4千人の方が就労につながっています。
障害者の職場定着状況
障害者の職場定着状況を見ると、就労年数の経過に伴い定着率が下がっています。
知的障害や発達障害のある方は比較的安定して就労できていますが、精神障害者の定着率は最も低く、働き続けることの困難さが読み取れます。

参考:厚生労働省「障害者雇用の現状等」
障害者が働き続ける上での課題
人間関係に不満を抱える方が多いこと、十分な配慮が行き届いていないことが、障害者が働き続ける上での主な課題としてあがっています。

参考:厚生労働省「障害者雇用の現状等」
定着支援サービスを利用すると職場以外に相談できる場所ができ、人間関係の悩みの解消につながる可能性があります。
また、必要に応じて定着支援員と職場で環境調整を行い、必要な配慮を受けることもできます。
就労支援の利用方法
就労支援は、見学体験や応募を経て自治体に申請することで利用できますが、利用前には、かかりつけ医に利用可否の判断をあおぐと安心です。
就労支援の利用の流れ
就労支援を利用する際の手続きの流れは次の通りです。
- STEP1主治医に相談する就労支援サービスを利用する前に主治医に相談しておくと安心です。
環境が変化することによる心身への影響や、就労支援を利用して問題ない体調なのかなど、アドバイスを受けることができます。 - STEP2問い合わせ・見学・相談・体験主治医の許可を得られたら、事業所を探します。
探し方は、市役所やクリニックでパンフレットをもらう、インターネットで調べるなどの方法があります。インターネットで調べる場合、「就労支援 〇〇市」のように、お住いの地域を入れて調べると近くの就労支援サービスが見つけやすいです。
気になるサービスがあったら問い合わせをしてみましょう。見学・相談・体験の案内を受けることができます。なお、就労継続支援A型の場合は、雇用契約を結ぶため、この段階で選考試験が行われる場合があります。 - STEP3自治体に相談利用したいサービスが決まったら、お住いの地域の障害福祉課担当窓口に相談するのが次の段階です。
サービスを利用する目的の確認や、申請の仕方についての案内が行われます。この時、障害者手帳や自立支援医療受給者証を持っていくと、話がスムーズに進む場合が多いです。 - STEP4サービス等利用計画案の作成申請に当たり、サービス等利用計画案の作成が必要となります。サービス等利用計画案とはサービス利用者の自立した生活を支援し、必要かつ適切なサービスが提供されるように作成されるもので、サービス利用者や家族の利用意向、支援の基本方針、解決すべき課題などが盛り込まれます。
自身で作成するセルフプランが許可されている自治体もありますが、難しい場合は相談支援事業所に依頼をして作成してもらうことも可能です。


- STEP5申請書類がそろったら、障害福祉課担当窓口へ申請に行きましょう。自治体によっては、この後に認定調査と呼ばれる本人や家族との面談が行われる場合もあります。
- STEP6受給決定利用可能の判断が下りると、障害福祉サービス受給者証が発行されます。
- STEP7利用開始受給者証が発行されたら、事業所と契約を結んでいよいよ利用開始です。
困ったときの相談窓口
利用や申請について困ったときには、自治体に相談するとサポートを受けることができます。主な相談窓口は下記のとおりです。
- 市役所の障害福祉課担当窓口
- 各事業所に直接相談
- 相談支援事業所
申請で不明点が出た際には、上記窓口に問い合わせをしてみるとよいでしょう。
どの就労支援を利用すればよい?決めるためのヒント

就労支援サービスが色々あってどれが自分に合っているのか分からない、という方もいるのではないでしょうか。
ここでは、自分がどのサービスに合っているかを見極めるためのヒントをご紹介します。
就労移行支援に向いている方
- 一般就労を目指している
- 自立して生活していきたい
- 早めに一般就労に移行したい
- 生活リズムが安定している
- 週30時間以上働ける体力がある
就労継続支援A型に向いている方
- 一般企業で働くのは難しいけど働いていたい
- 一定のリズムで働くことができる
- 給与が低くても良いから自立して働いていきたい
- 急がずに一般就労する準備を進めていきたい
- 作業を継続して行える集中力、体力がある
就労継続支援B型に向いている方
- 自分のペースで社会に貢献したい
- 生活基盤から整えたい
- 作業をすることに慣れたい
- 人と関わることに慣れたい
- 居場所を見つけたい
よくある質問

ここでは、就労支援に関してよくある2つの質問にお答えします。
Q.就労移行支援とハローワークの違いは?
就労移行支援とハローワークの違いはサービス内容です。
就労移行支援では求人の斡旋を行っておらず、訓練や就職活動のサポートが主なサービス内容となっています。また、基本的には毎日の通所が必要です。
一方、ハローワークでは求人を斡旋することができます。そのため、主なサービス内容は求人紹介です。利用頻度に関しても、毎日ではなく必要に応じて利用するという違いがあります。
Q.受給者証と障害者手帳との違いは?
受給者証
障害福祉サービス受給者証は、障害福祉サービスを利用するために必要なチケットのようなものです。この受給者証がないと、障害福祉サービスを利用することはできません。
障害者手帳
障害者手帳は、障害があることを証明する証明書のようなものです。障害者手帳がなくても障害福祉サービスを利用することはできます。
【まとめ】就労支援について
当記事では就労支援の各サービス内容や、それぞれのサービスに向いている人などについてご紹介しました。
就労支援は、障害が難病をお持ちの方が自分の能力を発揮して働けるように、訓練したり働く場を提供したりするサービスです。
事業所によって行っているプログラム内容や作業内容、雰囲気は違います。自分が望む生活や、無理なく職業生活を送るために必要なサービスを選んでいくことが大切です。
就労支援の利用を希望される場合、まずはお近くの自治体の障害福祉課担当窓口に問い合わせてみるとよいでしょう。近くの事業所の紹介や利用までのサポートを受けることができます。
この記事が、就労支援の利用を検討するための助けとなりましたら幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。

2014年に行政書士資格取得後、行政書士法人にて研鑽を積み、2016年から障害福祉分野に注力。福祉事業所には欠かせない都道府県・市町村への各種申請件数は100件以上。
また、福祉施策調査を実施し、障害福祉事業所に対し、運営提言も行っている。「行政書士ありもと法律事務所」の代表行政書士でもある。














