- 特別支援学校から一般企業への就職はやっぱり難しいの?
- 卒業後に選べる進路や就職先を知りたい
- 就職活動を進める方法や利用できる支援機関を知りたい
この記事ではこれらの疑問について、詳しく解説します。
特別支援学校卒業後の就職状況をはじめ、一般企業への就職や就労継続支援(A型・B型)など、選べる進路の選択肢を分かりやすくまとめました。
さらに、自分に合った進路選びのポイントや活用できる支援機関、「高卒扱いになる?」といったよくある質問にもお答えしています。卒業後の不安を解消し、将来の選択肢を広げるヒントとしてぜひ最後までご覧ください。
特別支援学校からの就職は難しい?|就職率と現実

特別支援学校高等部卒業生の一般企業への就職率は約30%です。この数字だけを見ると、「就職は難しいのでは?」と不安に感じる方もいるかもしれません。
しかし、これは多くのご家庭が抱える悩みの一つであり、就職率だけで進路の良し悪しを判断することはできません。
ここからは、特別支援学校卒業生の就職率や卒業後の進路の現状について見ていきましょう。
特別支援学校高等部卒業者の約30%が就職している
文部科学省の「特別支援教育資料(令和4年度)」によると、令和4年3月に卒業した特別支援学校高等部(本科)の卒業者のうち、就職者の割合は29.9%でした。
一方、社会福祉施設等への入所・通所者の割合は61.1%となっています。
参考:文部科学省「特別支援教育資料(令和4年度)」
一般企業への就職割合だけを見ると、難しいと感じる方もいるでしょう。しかし、この30%という数字だけで「希望通りの就職が難しい」と結論づけることはできません。
卒業後の進路は一般企業への就職だけではありません。就労継続支援A型・B型や就労移行支援など、一人ひとりの特性や希望に合わせた選択をする人も多くいます。
そのため、大切なのは「一般企業に就職できるかどうか」だけではなく、本人が安心して進める進路を選ぶことです。
特別支援学校卒業後の就職が難しいといわれる理由
特別支援学校卒業後の一般企業への就職が難しいとされる背景には、さまざまな要因があります。
ここでは、就職率の数字だけでは見えてこない理由について解説します。
障害特性に合った職場が限られる
障害のある方にとって、仕事内容や職場環境との相性は働き続けるうえで重要なポイントです。一人ひとりの特性によって、得意・苦手な作業や必要な配慮は異なります。
そのため、仕事内容だけでなく勤務時間や職場環境、通勤方法なども含めて探す必要がありますが、求人があっても配慮が整っているとは限りません。
本人の特性と環境が合わない場合、働きづらさにつながることもあります。一般企業への就職を目指す際は、求人票の条件だけで判断せず、見学や職場体験などを通して確認することが大切です。
自分に合った職場を探す際のポイントをまとめると、以下のようになります。
- 仕事内容や職場環境との相性を確認する
- 必要な配慮を受けられる職場かどうか確認する
- 就職支援機関を活用して、自分に合った職場を探す
企業と本人の希望が一致しない場合がある
一般企業への就職では、本人が希望する仕事内容や働き方と、企業が求める人材像が一致しない場合があります。
また、障害特性によっては自分の強みや必要な配慮を十分に伝えられず、採用につながりにくいケースもあります。お互いに納得できる就職先を見つけることが大切です。
一般企業への就職を検討する際は、次のような点を確認しておきましょう。
- 本人の希望する仕事内容と企業が求める業務
- 勤務時間や通勤方法などの条件面
- 面接で自分の強みや希望する配慮事項を伝える難しさ
- 職場環境や企業側が対応可能な配慮内容
就職に向けた準備や経験が必要になる
一般企業への就職を目指すためには、働くうえで必要な知識やスキルを身につけることが重要です。
学校や支援機関で実習・職場体験に参加し、少しずつ就労経験を積んでおくことで、就職後も安心して働きやすくなります。
一般企業への就職に向けて必要な力や経験について、以下にまとめました。
- 働くために必要な基礎スキルや知識
- 実習や職場体験を通じた実践的な業務経験
- あいさつや報告・連絡・相談(ホウレンソウ)などの社会性
- 就職までに少しずつ成功体験や業務経験を積み重ねること
ここまでは一般企業への就職について解説してきましたが、特別支援学校卒業後の進路は一般企業だけではありません。
就労継続支援A型・B型や就労移行支援など、本人の特性や希望に合わせた選択肢もあります。就職率だけに捉われず、本人に合った進路を選ぶことが何より大切です。
ここからは、特別支援学校卒業後の主な進路について詳しく解説します。
特別支援学校卒業後の主な進路

前述の通り、特別支援学校卒業後の進路は一般企業への就職だけではありません。
進学、就労系福祉サービス、生活介護・施設入所支援など、さまざまな選択肢があります。ここでは、それぞれの特徴やメリットについて解説します。
進学(大学・短大・専門学校)
特別支援学校を卒業した後、大学・短大・専門学校に進学し、興味のある分野を深く学ぶ道もあります。
専門的なスキルや資格を取得することで、将来の就職先の選択肢や可能性を大きく広げられる点が魅力です。
ただし、学校によって受けられる支援体制は異なるため、オープンキャンパスや相談会などで事前に確認しておくことが大切です。
一般企業への就職
卒業後に一般企業へ就職する生徒も少なくありません。
ハローワークや学校の進路指導を活用しながら、障害者雇用枠や一般雇用枠など、自分に合った働き方を選択できます。
職場で長く働き続けるためには、仕事内容だけでなく、職場での配慮やサポート体制も確認しておくことが重要です。
就労継続支援A型
就労継続支援A型は、雇用契約を結んで働く福祉サービスです。
最低賃金が保障されるため、支援を受けながら一般就労に向けた実践的な経験を積みたい人に適しています。仕事のスキルを磨きながら生活リズムを整えられる点が大きな特徴です。
なお、勤務時間や出勤日はあらかじめ決められているため、継続して通えるよう体調を整えることや、自己管理を行うことも大切です。
就労継続支援B型
就労継続支援B型は、一般企業などで働くことが難しい方が、自分の体調や障害特性に合わせて作業に取り組める福祉サービスです。
事業所とは雇用契約を結ばず、軽作業などを自分のペースで行いながら作業に応じた工賃を受け取ります。
勤務時間も一律ではなく、事業所によっては週1日・半日単位から利用できるなど、体調や生活リズムに合わせて通いやすい点が特徴です。
就労移行支援
就労移行支援は、一般企業への就職を目指す方を対象とした福祉サービスです。
ビジネスマナーやパソコン操作、面接対策などを学びながら就職活動を進められます。就職後も職場定着のためのサポートを受けられる場合があり、安心して長く働き続ける助けになります。
また、就労継続支援A型・B型などを利用して働く経験を積んだ後に、一般企業へのステップアップとして就労移行支援を利用するケースも少なくありません。
生活介護・施設入所支援
日常生活で継続的な介助が必要な場合は、生活介護や施設入所支援を利用する選択肢もあります。
食事や入浴などの日常的な支援を受けながら、創作活動やレクリエーションなどを通して、その人らしい生活を送れるようサポートを受けられます。
在宅ワーク
パソコンを使った仕事を中心に、在宅で働くという選択肢も広がっています。
ライティングやデータ入力、デザインなど自宅で取り組める仕事が増えていますが、継続して仕事を受けるには一定のスキルや自己管理能力が求められるため、事前の準備や学習が重要です。
特別支援学校卒業後の進路は一つではなく、本人の希望や得意なこと、障害特性に応じてさまざまな選択肢があります。
それぞれの特徴を理解したうえで、自分に合った進路を選ぶことが大切です。
卒業後の進路選びのポイント

卒業後の進路を考える際は、本人の希望や得意・苦手なこと、必要な支援、将来の生活像などを整理しながら進めていくことが大切です。
本人の希望を確認する
まずは、本人が卒業後にどのような生活を送りたいのか、どんな仕事に興味があるのかを確認します。
本人の気持ちを尊重しながら、無理なく続けられる進路を一緒に考えることが第一歩です。
得意・苦手を整理する
得意な作業や苦手なことを整理しておくと、本人の特性に合った仕事や環境を検討しやすくなります。
学校生活や実習での様子も振り返りながら、本人の強みを活かせる進路を考えましょう。
必要な支援を把握する
働くうえで必要となる配慮や支援についても具体的に整理しておきます。
業務内容だけでなく、コミュニケーション、通勤、勤務時間など、どのような場面で手助けが必要かを明確にしておくことが大切です。
将来の生活を見据えて考える
進路を選ぶ際は、仕事のことだけでなく卒業後の生活全体を見据える必要があります。
通勤方法や日常生活のリズム、収入、利用できる福祉サービスなどを総合的に考慮し、無理のない生活像をイメージしましょう。
自分に合った進路を選ぶ
整理した内容をもとに、一般企業への就職、就労系福祉サービス、進学などの中から、最も本人に合った進路を検討します。
学校や支援機関とも相談しながら、本人が安心して進める選択肢を見つけましょう。
特別支援学校の生徒に合った就職先の探し方
自分に合った就職先を見つけるためには、早い段階から準備を進めることが大切です。
ここでは、就職先を探す際に意識したい3つのポイントを紹介します。
実習を通して得意・不得意を見極める
在学中に行う実習は、就職先を選ぶうえで非常に貴重な機会です。
実際の業務を体験することで自分に向いている仕事や苦手な作業が見えてきます。また、どのような職場環境で力を発揮しやすいかを知るきっかけにもなるでしょう。
実習を通じて疲れやすさや集中力の持続時間などを確認し、困ったことや「配慮があって働きやすかった点」を振り返っておくと、就職先選びの貴重な判断材料になります。
実習先の担当者や学校の先生からの評価も参考にしながら、進路選択に活かしましょう。
学校の進路指導と連携しサポートを受ける
学校の進路担当の先生は、特別支援学校の生徒に対する就職支援のノウハウを豊富に持っています。
相談することで、本人の希望や特性に合った進路を一緒に考えてもらえます。必要に応じて企業との調整や見学、実習の手配をしてくれる場合もあります。
面接練習や履歴書の添削も受けられるため、具体的に就職活動をイメージしながら準備を進められるでしょう。
進路指導には保護者も積極的に関わり、学校と情報共有を行いながら進めていくことが大切です。
自分に合った求人情報を幅広く収集する
学校からの求人だけに頼らず、視野を広く持つことも重要です。
一般企業や特例子会社、福祉的就労も含めて幅広く比較・検討することで、より自分に合った職場が見つかりやすくなります。
障害者の雇用促進を目的に企業が設立する子会社のことです。障害特性に配慮した環境や業務内容が整えられていることが多く、一般的な企業への就職と並ぶ主要な選択肢となります。
次の章でご紹介するハローワークや障害者就業・生活支援センターなどの専門機関も積極的に活用し、見学や職場体験を通じ、働くイメージを具体化させていきましょう。
就職活動で利用できる支援機関

就職活動では、一人で悩まず支援機関を活用することが大切です。ここでは代表的な3つの支援機関を紹介します。
ハローワーク
ハローワークは、全国に設置されている国の就労支援機関です。求人紹介をはじめ、履歴書の書き方指導や面接対策など、就職活動全般のサポートを受けられます。
障害のある方に向けた専門窓口が設けられており、障害への理解がある担当者に相談しながら仕事を探せます。
一般求人に加えて障害者雇用枠の求人も扱っているため、特性に合った求人を見つけやすいのが特徴です。
地域障害者職業センター
地域障害者職業センターでは、障害のある方を対象に職業評価や職業準備支援など、より専門的な就労支援を行っています。
障害者職業カウンセラーなどの専門スタッフが配置されており、一人ひとりの特性に応じた支援計画を立ててもらえます。
「得意なこと・苦手なこと」を客観的に整理し、適した職場選びに繋げられます。
障害者就業・生活支援センター
就職に向けた支援だけでなく、体調管理や金銭管理といった「生活面」の相談・サポートも一元的に行っている機関です。
就職後も関係機関と連携しながら、長く働き続けられるよう継続的なアフターフォローを行ってくれます。
特別支援学校卒業後も利用できる支援制度・手当
特別支援学校を卒業した後も、就労や生活を支えるさまざまな制度や手当を利用できます。
ジョブコーチ支援
ジョブコーチ支援とは、障害や難病のある方が職場へ適応できるよう、専門家(ジョブコーチ)が現地に出向いて直接サポートする制度です。
本人に対して働き方の指導を行うだけでなく、企業側に対しても障害理解や適切な配慮方法についてアドバイスを行い、双方が働きやすい環境づくりを支えます。
障害者グループホーム
障害者グループホーム(共同生活援助)は、世話人などの支援を受けながら共同生活を送る住まいです。
家事などの日常スキルを学びながら安心して暮らすことができ、将来的な一人暮らしや自立に向けたステップとしても利用されています。
障害年金・特別障害者手当
障害年金は、病気や障害によって生活や仕事に制限が生じた際に支給される公的年金です。障害者雇用で働いている方や、福祉サービス(A型・B型・就労移行)を利用している方でも要件を満たせば受給できます。
また、常時特別な介護を必要とする重度障害のある方向けの「特別障害者手当」などの制度もあります。
申請要件は個々の状況で異なるため、市区町村や年金事務所、相談支援専門員に相談してみましょう。
生活保護
生活保護は、収入や資産を活用してもなお困窮する場合に、最低限度の生活を保障する制度です。
障害があり働くことが難しい場合も、要件を満たせば利用できます。不安がある場合は自治体の福祉事務所などに相談してみましょう。
一般企業への就職が難しいと感じたら「就労継続支援B型」という選択肢も
一般企業への就職だけが進路のすべてではありません。
働くことに不安がある場合は、就労継続支援B型を利用しながら自分のペースで社会参加を目指す方法もあります。
就労継続支援B型とは、障害や体調などにより一般就労が難しい人向けの福祉サービスのことです。
雇用契約を結ばずに働けるため、週1日・半日単位から自分のペースで働くことができ、作業内容としてはシール貼りなどの軽作業、データ入力などのパソコン作業などがあり、就労に対する工賃も支払われます。
生活リズムを整えて働く習慣を身につけることで、社会で働く自信が生まれ、そこから一般就労を目指す方もいます。
焦らず自分のペースに合った環境で着実に経験を積み、少しずつ将来の選択肢を広げていくことが大切です。
卒業後の進路でお悩みなら就労センターにご相談ください

愛知県にある「就労センター」では、就労継続支援B型の運用をはじめ、さまざまな就労相談に対応しています。
就労センターで受けられる支援
就労センターでは進路相談から具体的な就職活動(履歴書作成・面接練習)のサポートまで一貫して行っています。
実際の作業現場では、一人ひとりの体調やペースに合わせて専門の支援員が丁寧にサポートします。マニュアルに沿って一歩ずつ進められる体制を整えているほか、体調が優れない場合には無理をせず休息が取れるよう休憩スペースの提供や声かけなどの配慮も徹底しています。
本人だけでなく保護者様からのご相談も受け付けておりますので、進路に迷った際はお気軽にご相談ください。
早めの相談が将来の選択肢を広げる
特別支援学校卒業後の進路に悩んでいる場合は、在学中の早い段階からご相談いただくことをおすすめします。
就労センターでは、就労継続支援B型や就労移行支援、一般就労など複数の選択肢を比較しながら、一人ひとりの特性や希望に合った進路を一緒に考えます。
就労継続支援B型は決して「最終手段」ではなく、将来の可能性を広げるための前向きなステップの一つです。
よくある質問
Q.特別支援学校の卒業後は「高卒扱い」になりますか?
厳密には「高等学校卒業」ではなく「特別支援学校高等部修了(卒業)」という扱いになります。
ただし、大学受験資格においては高等学校卒業と同等とみなされるため、大学への進学が可能です。
一方、専門学校の場合は学校ごとに「高卒と同等以上の学力があるか」の判断基準が異なる場合があるため、事前に志望校へ確認することをおすすめします。
Q.B型の工賃だけで将来の生活費はまかなえますか?
就労継続支援B型の工賃のみで自立した生活費をすべてまかなうのは、難しいケースが一般的です。
厚生労働省のデータによるとB型事業所の平均工賃は月額2万円〜2万5千円前後となっています。
そのため、多くの方は障害年金や各種福祉サービス、手当などを組み合わせながら生活を送っています。
Q.まずはB型から始めて、将来的に一般企業へ就職することは可能ですか?
はい、十分に可能です。
まずはB型で生活リズムや働く習慣を身につけ、スキルや体調に自信がついてから就労移行支援などを経て一般企業へ就職するステップアップ例は多くあります。
焦らずご自身のペースで進めることが大切です。
Q.親が亡くなった後や、将来一人暮らしになったときの生活が心配です…
将来への不安を感じる保護者の方は非常に多くいらっしゃいます。
障害年金などの金銭的支援、グループホームなどの住まいの支援、相談支援専門員による定期的な生活サポートなど、活用できる社会資源は数多くあります。
早い段階から専門窓口に相談し、準備を整えておくことで不安を和らげることができます。
まとめ
特別支援学校を卒業した後の進路は、決して一つではありません。
一般企業への就職はもちろん、就労継続支援(A型・B型)や就労移行支援、生活介護など、一人ひとりの特性や体調に応じた選択肢が存在します。
周りと比べる必要はありません。本人にとって安心できる環境と望む進路を、学校や専門機関と協力しながらじっくり選んでいきましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。













