- 発達障害でも障害者手帳を取得できるの?グレーゾーンの場合は?
- 障害者手帳を習得するメリット・デメリットは?
- 障害者手帳の取得条件や申請方法を知りたい
この記事ではこのような疑問を解決します。
結論から申し上げますと、発達障害の方も一定の条件を満たせば障害者手帳を取得できます。
障害者手帳を持つことによるメリットは多岐に渡るため、障害者手帳の取得を迷っている方も少なくないことでしょう。
この記事では、発達障害の方が障害者手帳を取得するための条件や申請方法、手帳によるメリットなどを詳しく解説しますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
発達障害でも障害者手帳は取得可能
前述しましたが、発達障害の方も障害者手帳の取得は可能です。
以前は「うつ」などの二次障害がある場合にしか対象にならないということがありましたが、ここ15年ほど前から二次障害のない場合でも手帳を取得できるケースが増えてきました。
障害者手帳には「身体障害者手帳」「精神障害者保健福祉手帳」「療育手帳」の3種類があります。
病名や症状によって交付される手帳の種類が異なりますが、どの手帳も障害者総合支援法の対象となり、取得することによって色々な支援やサービスを受けられます。
障害者手帳の種類 | 交付の対象となる方 |
---|---|
身体障害者手帳 | 「身体障害者福祉法」に基づき、身体の機能に一定以上の障害があると認められた方 |
精神障害者保健福祉手帳 | 「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」に基づき、一定程度の精神疾患のある方 |
療育手帳 | 児童相談所、または知的障害者更生相談所において「知的障害(知的発達症)がある」と判定された方 |
このうち発達障害の方は、発達障害と診断され日常生活もしくは社会生活に制限を受ける場合や、知的障害があると判定された場合など一定の条件を満たすことにより「精神障害者保健福祉手帳手帳」または「療育手帳」の取得が可能になります。
発達障害の方で知的障害のある方は「療育手帳」を、大人になって発達障害がわかった方の多くは「精神障害者保健福祉手帳」を申請することになります。
精神障害者保健福祉手帳
精神障害者保健福祉手帳は、精神障害によって長期に渡り日常生活または社会生活への制約がある方が対象となっており、全ての精神障害を対象としています。
- 統合失調症
- うつ病、躁うつ病などの気分障害
- てんかん
- 薬物依存症
- 高次脳機能障害
- 発達障害(自閉スペクトラム症、限局性学習症、注意欠如移動症など)
- ストレス関連障害を含むその他の精神障害
精神障害者保健福祉手帳の等級は1級から3級まであり、精神疾患と機能障害の状態によって、日常生活を送るために必要な能力がどの程度不足しているかを総合的に判断されて等級が決まります。
1級 | 精神障害であって、他人の介助を受けなければ自分の用を弁ずることができない程度のもの |
2級 | 精神障害であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの |
3級 | 精神障害であって、日常生活若しくは社会生活が制限を受けるか、又は日常生活若しくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの |
療育手帳
療育手帳は、知的障害者もしくは知的障害児が対象となり、等級は基本的に重度の「A」と中軽度の「B」の2種類に区分されています。
以下、厚生労働省が示す等級の判定基準になります。
重度(A)の基準
- 知能指数が概ね35以下であって、次のいずれかに該当する者
食事、着脱衣、排便及び洗面等日常生活での介助が必要
異食、興奮などの問題行動がある - 知能指数が概ね50以下であり、盲、ろうあ、肢体不自由等を有する者
それ以外(B)の基準
重度(A)のもの以外
※参考:厚生労働省「療育手帳制度の概要」
また、自治体によってはガイドラインに基づいてさらに細分化しているところもあります。
等級区分 | ||||
最重度 | 重度 | 中度 | 軽度 | |
東京都 | 1度 | 2度 | 3度 | 4度 |
神奈川県 | A1 | A2 | B1 | B2 |
埼玉県 | マルA | A | B | C |
千葉県 | A | A1、A2 | B1 | B2 |
名古屋市 | 1度 | 2度 | 3度 | 4度 |
例えば、神奈川県の場合は、B1(中度)の判定基準を「知能指数がおおむね36以上50以下のもので、A2(重度)に該当しないもの」と設定しています。
また、B2(軽度)の判定基準を「知能指数がおおむね51以上75以下のもの」「指数が境界線級であって、かつ、自閉スペクトラム症の診断書があり、県内の児童相談所または県立総合療育相談センターの長が認めたもの」としています。
※参考
・東京都福祉保健局「東京都福祉保健局」
・神奈川県「神奈川県療育手帳制度実施要項」
・埼玉県宮代町「障害者手帳の交付・療育手帳」
・千葉県「よくある質問(Q&A)-知的障害」
・名古屋市「愛護手帳」
発達障害の方が障害者手帳を取得するメリットとデメリット
障害者手帳を取得することによるメリット・デメリットには様々なものがあります。発達障害のある方で、障害者手帳の取得を考えている方はぜひ参考になさってください。
障害者手帳を取得するメリット
障害者手帳を取得するメリットは主に5つです。
- 就職する際に障害者枠での応募ができる
- 医療費の支援や税金の優遇措置が受けられる
- 公共交通機関や施設などの割引が受けられる
- 公営住宅への優先入居が可能
- 障害福祉サービスを利用できる
就職する際に障害者枠での応募ができる
障害者手帳を取得することで、就活の際に「障害者雇用枠」での応募が可能になります。
障害者雇用枠とは、障害者が社会で自立して活躍できる環境を作るために、障害者雇用促進法に基づいて、一定の条件を満たす企業に障害者の採用を義務づけている枠のことです。
障害者枠で採用されると、一般枠で入社した場合と比べ、その人が持つ障害についての理解や配慮が得られるため、安心して働きやすいという大きなメリットがあります。
医療費の支援や税金の優遇措置が受けられる
障害者手帳を取得すると、医療費の減額や所得税・相続税などの減免が受けられます。所得税については障害当事者だけではなく、扶養、親族が障害者である方も対象になります。
また、住民税や自動車税、個人事業税なども自治体ごとに控除額が設定されています。
公共交通機関や施設などの割引が受けられる
手帳があることで、バスや電車などの運賃、美術館や博物館などの公共施設の入場料の割引を受けることができることに加え、水道料金やNHKの受信料、携帯電話の利用料なども割引の対象となります。
全国一律に受けられるサービスもあれば、各自治体によってサービスの内容や条件が異なっているケースもあるため、自治体や利用したい施設のホームページなどで確認してみましょう。
公営住宅への優先入居が可能
公営住宅は家賃が安いこともあり、地域によっては入居する際の競争率がかなり高く、応募してもなかなか住むことができませんが、障害者手帳を取得していれば優先的に入居できる場合があります。
経済的負担の軽減にもなる公共住宅への優先入居もメリットのひとつと言えるでしょう。
障害福祉サービスを利用できる
障害者手帳を取得すると障害福祉サービスを利用できます。
障害福祉サービスは障害のある方が社会参加するための能力や知識を高める訓練を行ったり、日常生活における困り事や就労に関する支援をするサービスです。
障害福祉サービスには大きく分けて訓練等給付と介護給付の二つに分けられており、障害の程度や希望などに応じて利用するサービスが決められます。
尚、障害福祉サービスを利用するにあたり、障害者手帳があるとスムーズですが、必ずしも必要ではなく、障害福祉サービス受給者証があれば障害福祉サービスの利用が可能です。
障害を持つ方が障害福祉サービスを受けるには、市町村へ給付申請をして認定を受ける必要がありますが、その際に発行される認定証が障害福祉サービス受給者証になります。
受給者証には利用するサービス内容や期間などが記載されており、利用者はこの受給者証に基づいてサービスを受けることができます。
障害者手帳を取得するデメリット
障害者手帳を取得することで不利益をこうむることはほとんどありません。敢えてデメリットをあげるとすれば以下の2つです。
- 生命保険に入りにくくなることがある
- 障害者と認定されることへの抵抗感や不安を持ってしまう
生命保険に入りにくくなることがある
民間の生命保険に入る際、ほとんどの場合、自分の健康状態を告知しなければなりません。
障害者手帳を取得している方、あるいは発達障害の診断を受けている方はそのことも告知する必要があり、それによって生命保険への加入が難しくなってしまうケースがあります。
ただし、保険会社や加入する商品によっては、発達障害の程度などを勘案して通常の保険加入が認められたり、保険料を上乗せするなど条件付きで加入ができる場合もあります。
障害者と認定されることへの抵抗感や不安を持ってしまう
もう1つは心理的な面です。障害者手帳を持つことで「手帳を持っていることを周りに知られたくない」「自分は障害者なのか…」といったようなネガティブな感情を持ってしまうことがあります。
しかし、告知義務に該当するケース以外、日常生活において障害者手帳を持っていることを周りの人に話す必要はまったくありませんし、取得後、どうしても自分には必要ないと判断した時にはいつでも返納できるのでご安心ください。
障害者手帳の取得にためらいを感じている方へ
手帳を持つことで、障害者とみなされることに強い抵抗を感じる方もいらっしゃるかもしれません。ためらいや迷いを感じている方は無理に障害者手帳を取得しようとせず、時間をかけてゆっくりと考えましょう。
障害者手帳の取得はあくまで任意です。ご自身やご家族の価値観を基準にメリットやデメリットを考え、取得したくなった時に申請する程度でよいのではないでしょうか。
元来、障害者手帳は障害がある方の日常生活や社会参加を促進し支援することを目的に国が交付しているものです。社会生活を営むうえで、不便や制約があった場合のサポートをしてくれるための「お守り」として取得される方もいるので、考え方のひとつとして心に留めておいてください。
発達障害の方が障害者手帳を申請する方法
ここからは発達障害の方が取得できる精神障害者保健福祉手帳と療育手帳の申請方法について解説していきます。
精神障害者保健福祉手帳の申請方法
精神障害者保健福祉手帳の申請の際には、医師の診断書が必要になります。(精神障害による障害年金を受給している人は障害年金証書の写しで代用可能)
- STEP1お住まいの地域にある役所の障害福祉担当課窓口で、申請書を取得し手続きの流れを聞きます。
主治医以外に相談支援専門員などにも相談できますが、問い合わせ先などが分からない場合は就労センターまでお気軽にご連絡ください。 - STEP2診断書もしくは障害年金証書の写しを準備します。
- STEP3申請書、診断書、顔写真などの必要書類を揃え、障害福祉の担当窓口へ提出します。
- STEP4精神保健福祉センターで判定され交付されます。
市町村役場の受付窓口で受け付けられた申請書類は、精神保健福祉センター内の手帳等検討委員会で判定され、精神保健福祉センターで発行されます。
発行された手帳は申請を行った市町村役場へ送付され申請者へ交付されます。そのため、交付申請をしてから交付まで、おおむね1~2ヶ月かかります。
療育手帳の申請方法
療育手帳に関しては、申請の対象となる方が18歳未満の児童か、18歳以上の成人かによって申請方法が異なります。
- STEP1児童の場合は児童相談所、成人の場合は障害福祉担当課窓口に手続き方法を確認します。
- STEP2必要に応じて医師から診断書を取得します(自治体により異なります)。
- STEP3療育手帳交付申請書、診断書、顔写真、印鑑など必要書類を揃え、障害福祉担当課窓口・児童相談所へ提出します。
- STEP4各自治体指定の心理判定員や小児科医が面談を行い、判定結果に基づき認定された場合交付されます。
障害者手帳の申請に関して知っておきたいポイント
ここでは障害者手帳に関して知っておくべき注意点やポイントを解説します。
2年に1回更新が必要
精神障害者保健福祉手帳は2年ごとに更新する必要があります。
精神障害は症状が軽くなったり重度化したり変動のある方が多いため、2年に一度診断を受けて再判定を受けることになっています。
手帳の更新を希望する方は、有効期限の3ヵ月前から更新手続きが可能です。
障害者手帳は大人になってからでも申請可能
障害者手帳には年齢制限がないため、大人になってからでも取得できます。
療育手帳は通常10歳くらいまでに取得するケースが多いですが、大人になってから発達障害の診断を受け、そこから療育手帳を取得することも可能です。
精神障害者保健福祉手帳と療育手帳は同時に所持できる
精神疾患と知的障害の両方があると判断された方は、精神障害者保健福祉手帳と療育手帳の両方の手帳を受け取れます。
手帳の申請や受け取りは本人でなくてもよい
障害者手帳は、お住まいの地域にある役所の障害福祉担当窓口で申請や受け取りができます。本人でなくても保護者の他、代理人でも可能です。
ただし、代理人が申請する場合は、代理人自身の本人確認書類と委任状が必要になります。
障害者手帳を取得できないケース
発達障害の方が障害者手帳を申請した場合、必ずしも取得できるとは限りません。ここでは取得不可となってしまうケースを2つご紹介します。
- 障害者手帳を取得する基準を満たしていない
- 発達障害グレーゾーン
障害者手帳を取得する基準を満たしていない
精神障害者保健福祉手帳は、精神疾患の初診日から6ヶ月経過しないと申請ができません。よって、初診日から6ヶ月経過するまでは申請自体が行えません。
また、6ヶ月経過後に申請して行われる審査において「1級〜3級いずれの状態にも当てはまらない」と判断された場合には取得できません。
発達障害グレーゾーン
発達障害グレーゾーンとは、発達障害の傾向がみられるものの「発達障害」という確定診断に至らないケースのことです。
この正式に発達障害という診断結果が得られないグレーゾーンの場合は、精神障害保健福祉手帳の交付はされません。
障害者手帳がなくても受けられる支援サービス
続いては、障害者手帳がなくても利用できる施設やサービスを大人向けと子供向けに分けてご紹介します。
大人向けの支援サービス
障害者手帳がなくても利用できる大人向けの支援サービスは以下のとおりです。
発達障害者支援センター
発達障害者支援センターは、発達障害の方の生活を総合的に支援する専門機関で、都道府県・指定都市自ら、または、都道府県知事等が指定した社会福祉法人、特定非営利活動法人などが運営しています。
保健、医療、福祉、教育、労働の各分野の専門機関と連携し、日常生活や社会生活が健全に行えるようにさまざまな相談に応じ、指導や助言を行っています。
ハローワーク
ハローワークでは、発達障害がある方の就職活動全般の支援を行っており、就職相談や紹介、職業訓練などさまざまな就労に関するサービスが受けられます。
また、障害者専用の相談員が配置されているところもあり、個別の状況やニーズに合わせたサポートが可能です。
地域若者サポートステーション
地域若者サポートステーションは、働くことに困難を感じている方が就労に向き合えるよう様々な支援を行う機関で、15歳から49歳までを対象としています。
発達障害のある方が社会に適応し、職業的自立ができるようカウンセリング・若者キャリア開発プログラムなどによる指導や支援が受けられます。
障害者就業・生活支援センター
障害者就業・生活支援センターは、就業を希望する障害を持つ方または在職中で障害を持つ方が抱える問題や課題に応じ、雇用・福祉関連機関と連携して、就業面や生活面での一体的な支援を行っています。
ハローワークが主に仕事の紹介を行うことに対して、障害者就業・生活支援センターは職業訓練の紹介や、求職活動のサポートに加え、就業後の生活面での支援なども包括的に行います。
就労移行支援事業所
就労移行支援事業所は、障害のある方が一般企業での就労を目指すためのサポートが受けられる通所型障害福祉サービスです。
例えば、ハローワークで就活を相談する前の段階として「生活リズムを整える」「集中力を習得する」「適性や課題を見つける」などの就労の準備を整えるための支援や指導が行われます。
就労継続支援事業所
すぐには一般企業への就職が難しかったり、自分のペースで働きたい方が利用できる通所型障害福祉サービスです。
職業訓練や生産活動と呼ばれる軽作業などを通じ様々な支援が受けられ、労働契約の有無によってA型とB型に分けられます。
子供向けの支援サービス
障害者手帳がなくても利用できる子供向けの支援サービスは以下のとおりです。
保健センター
保健センターは、各市町村に設置されている住民の利用頻度が高い保健サービスを提供している施設で、発達障害を持つ子供の育児相談に関しても専門の知識を持った職員が対応してくれます。
子供家庭支援センター
子供家庭支援センターは、子供と家庭の問題に関する相談窓口です。
18歳未満の子供や子育てに関すること、あらゆる相談に応じてもらえるだけでなく、ショートステイや一次預かり、ケース援助などが可能なことに加えて、地域の子育てに関する情報も提供してもらえます。
児童相談所
児童相談所は、児童福祉法に基づいて設置されている専門の行政機関です。
18歳未満の子供に対するあらゆる相談に無料で対応が可能で、児童心理司や児童福祉士などの専門のスタッフが在籍しており、様々なケースでともに問題解決を目指してくれます。
児童発達支援事業所
児童発達支援事業所は、6歳以下の未就学児やその家族に対する支援を行います。発達に不安のある子供のケアや、その家族の支援を行うことにより、負担を軽減することを主な目的としています。
身体や精神に障害がある児童や、発達障害、知的障害のある児童が対象で、障害者手帳の有無は問われません。
放課後等デイサービス
児童福祉法に基づく福祉サービスで、障害がある学齢期(18歳未満)の子供が利用できる通所型の福祉サービスです。
学童保育のように、放課後や夏休みなどの長期休暇を利用して、生活能力を向上するための支援や自立のためのサポートが受けられます。
就労センターは発達障害の方に寄り添うパートナーです
就労センターはこれまで就労継続支援B型事業所として、多くの発達障害をお持ちの方に寄り添い、相談相手になってきました。
障害や病気などで一般企業で雇用契約を結んで働くことが困難な方を対象に軽作業などの就労機会や就労訓練などを提供し、社会参加をサポートする障害者総合支援法に基づいた就労系の福祉サービスです。
これまでに700名を超える方が就労センターを利用しており、そのうち6割以上の方が発達障害または精神疾患をお持ちの方です。
就労センターの利用形態は多岐に渡っており、事業所内で作業する方もいれば、企業へ出向いて作業したり、在宅利用する利用者さんもいらっしゃいます。
利用者さんのご希望や障害特性などに合わせて様々な利用形態をご案内しておりますので、無理なく働き始めることができるのでご安心ください。
就労のことや居場所がないなど、発達障害が原因で悩みをお持ちの方はお気軽に就労センターへご相談ください。
発達障害に関するよくある質問
発達障害に関するよくある質問をご紹介しますので参考になさってください。
Q.発達障害(ADHD・ASD・LD)でも障害者年金をもらえますか?
発達障害の方でも条件を満たせば障害年金の受給対象となります。
ただし、障害者手帳と障害年金は別々の制度であり、手帳を持っているからといって障害年金の対象とはならないのでご注意ください。障害年金は年金事務所への申請が必要です。
Q.障害者手帳の種類は就活に影響しますか?
一概には言えませんが企業によって異なります。
発達障害の場合、精神障害者保健福祉手帳を所持していれば採用が有利になる企業もあれば、知的障害の人だけを雇用している企業の場合は療育手帳でないと入社できないというケースもあります。
求人票にはそういったことが記載されていないため、支援者に相談することが一番の近道になると思います。
例えばハローワークの障害のある人向けの窓口や、障害者の就労支援機関で、応募を考えている企業がこれまでどんな人が就職しているか聞いてみることで、ある程度の傾向が分かる場合もあります。
また、発達障害のある人の採用実績がある企業の求人を紹介してもらえるケースもあるため、こういった就職支援機関を大いに活用しましょう。
また、障害者手帳を持っているからといって、必ずしも障害者雇用枠で応募しないといけないというわけではありません。一般雇用と障害者枠のどちらでも選択できることも知っておきましょう
Q.障害者手帳を申請後すぐに就活で障害者枠のエントリーは可能ですか?
手帳が交付されていなくても障害者枠でエントリーできる場合もあります。
障害者手帳は申請してから結果が出るまでに1~2ヶ月かかります。しかし、障害者枠の求人の中には障害者手帳の申請書の控えがあれば応募できるところがあるので、そのような企業には手帳交付前でもエントリーできます。
【発達障害と手帳について】まとめ
本記事では発達障害の方の障害者手帳について、取得できる手帳の種類や条件、メリットや申請方法などについて説明してきました。
前述のように、>手帳を持つこと自体のデメリットはほとんどないため、条件を満たしている場合には、申請してみてはいかがでしょうか?
また、条件等が合わずに取得できない場合でも、多くの利用できる福祉サービスもあるため、自分にあった施設や機関を見つけて利用しましょう。
障害者手帳や福祉サービスに関してご不明な点がございましたら、お気軽に就労センターへご相談ください。最後までお読みいただきありがとうございました。
2014年に行政書士資格取得後、行政書士法人にて研鑽を積み、2016年から障害福祉分野に注力。福祉事業所には欠かせない都道府県・市町村への各種申請件数は100件以上。
また、福祉施策調査を実施し、障害福祉事業所に対し、運営提言も行っている。「行政書士ありもと法律事務所」の代表行政書士でもある。