- 障害者就業・生活支援センターとは?どんな支援を受けられる?
- 障害者就業・生活支援センターの対象者や費用は?
こういった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。障害者の就業面と生活面の両方を総合的にサポートしているのが「障害者就業・生活支援センター」です。
この記事では、障害者就業・生活支援センターの具体的な役割や支援内容、利用の流れに加え、他の支援機関との違いや利用するメリット・デメリットなどを分かりやすく解説します。ぜひ最後までお読みください。
目次
障害者就業・生活支援センターは就労と生活を支援する公的機関
障害者就業・生活支援センターは、障害のある方が地域で自立した生活を送りながら安心して働き続けられるよう支援する相談支援機関です。 また、障害者雇用を行う企業からの相談にも対応しており、障害のある方と企業の双方を支援しています。
厚生労働省の委託事業として全国に設置されており、社会福祉法人などが都道府県知事の指定を受けて運営しています。
相談例としては以下のようなものがあります。
- 就職を希望しているけど、先ずどこに相談すればいいか分からない
- 就職に向けて訓練や実習をさせてもらえるところはないだろうか?
- これまで体調を崩して仕事が長続きしなかった
- 現在の仕事を続けられるか心配
- 雇用している障害のある従業員が休みがちで対応に悩んでいる
- 障害者雇用を始めたいが、どのように進めればよいか分からない
- 職場定着のための支援や助言を受けたい
このように、障害者就業・生活支援センターは、障害のある方の就職活動から職場定着までを支援するとともに、企業に対しても障害者雇用に関する助言や関係機関との調整を行っています。
「障害者の雇用促進等に関する法律」では以下のようにセンターの事業内容を定めています。
第四節 障害者就業・生活支援センター
(業務)
第二十八条 障害者就業・生活支援センターは、次に掲げる業務を行うものとする。
一 支援対象障害者からの相談に応じ、必要な指導及び助言を行うとともに、公共職業安定所、地域障害者職業センター、社会福祉施設、医療施設、特別支援学校その他の関係機関との連絡調整その他厚生労働省令で定める援助を総合的に行うこと。
二 支援対象障害者が障害者職業総合センター、地域障害者職業センターその他厚生労働省令で定める事業主により行われる職業準備訓練を受けることについてあつせんすること。
三 前二号に掲げるもののほか、支援対象障害者がその職業生活における自立を図るために必要な業務を行うこと。”
障害者就業・生活支援センターの対象者
障害者就業・生活支援センターの主な対象者は、就職を希望する障害のある方や現在働いている障害のある方です。障害の種類については、次のような障害がある方とされています。
- 身体障害
- 知的障害
- 精神障害(発達障害を含む)
- その他の心身の機能の障害(難病等を含む)
上記のような障害により、就職や仕事の継続に関する悩みを抱えている方や、働くうえで生活面についても課題のある方が対象となります。
なお、自治体やセンターによって居住地域や障害者手帳の有無など、詳細な利用条件は異なる場合があります。
参考:「障害者の雇用の促進等に関する法律」
障害者就業・生活支援センターの利用料金
障害者就業・生活支援センターの相談や支援は、原則として無料で利用できます。
登録料や利用料、相談料などはかかりませんが、職業準備訓練など他事業所で発生する利用料や交通費については自己負担となる場合があります。
障害者就業・生活支援センターで受けられる支援

障害者就業・生活支援センターでは、就業支援担当者と生活支援担当者が連携しながら、支援を行っています。
障害のある方が安定して働き続けるために、就業面のサポートだけでなく、健康管理や金銭管理、福祉サービスの利用など、生活面の支援も受けられることは安心できるポイントです。
障害者就業・生活支援センターでは、こうした課題を総合的に支援し、地域の福祉機関や医療機関、ハローワーク、提携する就労支援機関、企業などと連携しながら利用者をサポートしています。
就業面で受けられる支援
就業面では、就職に向けた準備から就職後の定着支援までサポートを受けられます。
また、「現在会社を休職している」「退職するか悩んでいる」などの相談にも対応しています。主な支援内容は次のとおりです。
| 就職に向けた準備支援 | 職業相談・職業評価 職業準備訓練(併設する施設や他の就労支援機関にて実施) 職場実習のあっせん |
| 求職活動支援 | 履歴書の添削、面接の練習 職場見学や面接の同行 |
| 職場定着支援 | 就業先企業との調整や助言 |
生活面で受けられる支援
障害者就業・生活支援センターでは、仕事をする上で必要な日常生活や、地域生活に関する相談にも対応しています。生活支援担当者は必要に応じて家庭や医療機関などの訪問も行っています。
主な支援内容は以下の通りです。
| 健康面に関する支援 | 健康管理に関する相談 生活リズムの改善支援 医療機関との連携 |
| 金銭面に関する支援 | 金銭管理に関する助言 年金や各支援制度などの助言・利用支援 |
| 生活設計や地域生活に関する相談 | 福祉サービス利用の支援 住居に関する支援 余暇活動に関する助言・利用支援 家族との調整 |
障害により就業面だけでなく、生活面にもさまざまな課題が生じている場合があります。
例えば、「睡眠や生活リズムが乱れがち」「体調を崩しやすく、今まで仕事に支障をきたしてきた」などの相談にも応じてもらえます。就業面だけでなく生活面も含めて支援してもらえることは、障害者就業・生活支援センターの大きな特徴といえるでしょう。
企業・事業主への支援
障害者就業・生活支援センターは、障害のある方だけでなく障害者雇用に取り組む企業や事業主に対する支援も行っています。
例えば、障害者を雇用したい企業に対する支援として
- 障害者雇用や各種助成金制度に関する情報提供
- 業務の切り出し方や障害者採用のアドバイス
- 雇用管理・サポートなどの助言
- 職場環境の整備に関する相談と提案
- ジョブコーチ支援(※)の活用提案
などが挙げられます。
障害のある方が職場に適応し安定して働き続けられるよう、専門の支援者が職場を訪問して本人や企業に対して助言・支援を行う制度。
また、「採用した従業員が職場にうまく適応できない」「体調不良などで欠勤が増えている」といった場合には、本人や企業との面談を行いながら、職場定着に向けた支援を実施しています。
障害者雇用の経験が少ない企業にとっても、採用から定着まで相談できる身近な支援機関です。
<参考>
厚生労働省「障害者就業・生活支援センターの概要」
宮城県「障害者就業・生活支援センターの指定と運営について」
障害者就業・生活支援センターを利用する流れ
利用の流れはセンターによって異なる場合もありますが、一般的には次のような流れで進みます。
- STEP1相談まずは利用を検討しているセンターに電話やメール、問い合わせフォームなどで相談を申し込みます。現在の状況や困りごとについて簡単に伝えましょう。
- STEP2面談・登録担当者との面談で、就労状況や生活状況、希望する働き方などを詳しく確認します。
あわせて、これまでの職歴や既往歴を伝えたり、現在の通院状況、収入面など、働き続けるために必要な生活面の困りごとについても、相談できるとよいでしょう。 - STEP3今後の方針、方向性の決定面談や作業アセスメントを通して仕事の適性やストレス耐性などを確認し、本人の希望も併せて今後の方向性を担当者と共に考えます。
必要に応じて障害者就業・生活支援センターに併設する施設や、提携施設での作業を通し、障害特性や能力の確認を行うこともあります。 - STEP4支援開始各センターや、ご本人の状況により支援のプロセスは異なりますが、一般就労を目指す場合の一例として、次のような流れで支援が進められます。
職業準備訓練
地域障害者職業センターや他の事業所にて、実際の作業や訓練を通じて働くうえで必要な基礎的な習慣やスキルを身につけます。
↓
求職活動支援
↓
短期の職場実習やトライアル雇用
↓
就労開始
↓
職場定着支援
↓
フォローアップ
また、就労支援と並行して家庭訪問や関係機関との連携・調整を行いながら、生活面の支援も継続的に行われます。
参考:東京労働局「障害のある人に安定した就労生活を」
障害者就業・生活支援センターを利用するメリット・デメリット

障害者就業・生活支援センターには多くのメリットがありますが、一方で、センター自体は求人紹介や職業訓練を行う機関ではなく、ハローワークや就労支援事業所などの関係機関と連携しながら支援を行います。そのため、利用前に知っておきたい注意点についても理解しておくことが大切です。
ここでは、障害者就業・生活支援センターを利用するメリットとデメリットについて解説します。
- 就業面と生活面の両方を相談できる
- 利用期限がない
- 無料で利用できる
- 就職前から就職後まで継続的に支援を受けられる
- 地域の企業や支援機関と連携している
- 現在就業中の方も支援の対象
- センターでの相談は無料だが、紹介先の支援機関やサービスによっては利用料や交通費などの費用が発生する場合がある
- 地域や利用状況によって初回の面談までに時間がかかる場合もある
障害者就業・生活支援センターでは、さまざまな支援機関と連携しながら就業面と生活面の両方を相談することができます。一方、「生活面の相談は希望しない」という方や「求人紹介を受けて早急に就職したい」という方はハローワークの利用がおすすめです。
メリット・デメリットを理解して自分の状況に合った支援機関を利用するとよいでしょう。
障害者就業・生活支援センターと他の支援機関との違い
障害のある方の就労を支援する機関は複数あり、それぞれ役割や支援内容が異なります。障害者の就労支援は、大きく「雇用施策」と「福祉施策」の二つに分けられます。
雇用施策には、ハローワークや地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センターなどがあり、一般就労や職場定着に向けた支援を行っています。
一方、福祉施策には就労移行支援や就労継続支援A型・B型、就労定着支援などの障害福祉サービスがあり、働くための訓練や就労機会の提供を行っています。
ここでは、障害者就業・生活支援センターと主な支援機関との違いを解説します。
障害福祉サービス(就労移行支援等)との違い
障害者就業・生活支援センターは、主に就労面・生活面の相談支援や関係機関との連携・調整を行う機関です。一方、就労移行支援事業所では、就職に必要な知識やスキルの習得、職業準備訓練などを提供しています。
両者には次のような違いがあります。
| 項目 | 障害者就業・生活支援センター | 就労移行支援事業所 (障害福祉サービス) |
|---|---|---|
| 主な役割 | 就労・生活の相談支援、関係機関や企業との連携・調整 | 就職に必要な知識やスキルの習得、職業準備訓練 |
| 設置根拠 | 障害者の雇用の促進等に関する法律 | 障害者総合支援法 |
| 対象者 | 障害や疾病により就労及び生活に課題がある方 | 障害者総合支援法の対象となる障害者・難病患者で一般就労を目指す方 |
| 費用 | 原則無料 | 原則一割負担(ただし所得に応じて無料の場合もある) |
| 利用期限 | 原則なし | 原則2年間 |
| 就労中の利用 | 利用可 | 原則として一般就労中の方は利用対象外 |
| 運営主体 | 一般社団法人、社会福祉法人など | 株式会社、社会福祉法人、NPO法人など |
両機関とも職業評価や職業相談から求職活動まで支援を受けることができますが、就労移行支援の方が対象者や利用期間については限定されています。
しかし、就労後の定着支援については障害福祉サービスの「就労定着支援」を利用することで就職後も継続して支援を受けることができます。
地域障害者職業センターとの違い
地域障害者職業センターは、ハローワークと連携しながら障害のある方が就職し、働き続けられるよう専門的な支援を行う機関です。
職業評価や職業準備支援、ジョブコーチ支援などを行い、利用者の職業能力や適性を把握しながら就職や職場定着を支援します。
就職活動から生活面の相談まで幅広く支援を受けたい場合や、就業中の企業との調整や助言を希望する場合は、障害者就業・生活支援センターの利用が適しています。
しかし、両機関は連携して支援を行うことも多く、障害者就業・生活支援センターで継続的な相談支援を受けながら、地域障害者職業センターで職業準備支援を受けることも可能です。
参考:厚生労働省「障害者職業センターの概要」
相談支援事業所との違い
相談支援事業所は、障害福祉サービスの利用を前提とした相談を行う事業所です。利用者や家族の相談に応じながら、必要な福祉サービスの調整や関係機関との連絡調整を行います。
一方、障害者就業・生活支援センターは、就職や職場定着に関する支援を中心に行う機関です。福祉サービスの利用相談だけでなく、企業やハローワークとの連携・調整を希望する方は、障害者就業・生活支援センターの利用が向いているでしょう。
ハローワークとの違い
ハローワークは、職業紹介や求人情報の提供を行う国の機関です。障害者専門窓口を設置しているハローワークでは、障害者向け求人の紹介や職業相談、職業紹介を行っています。
しかし、ハローワークは基本的に就職活動の支援が中心であり、生活面の相談や就職後の継続的な支援には限りがあります。
障害者就業・生活支援センターは、ハローワークと連携しながら、就職前から就職後まで継続した支援を行っている点が大きな違いです。
障害者雇用を支える地域のコーディネーターとしての役割
障害者就業・生活支援センターは、企業からの個別相談に応じるだけでなく、地域における障害者就労支援のネットワークを構築する役割も担っています。
具体的には、ハローワークや地域障害者職業センター、障害福祉サービス事業所、医療機関、行政機関などと連携しながら、障害のある方の就労を地域全体で支える体制づくりを行っています。
また、地域の労働市場や企業ニーズを把握し、障害者雇用に関する情報発信や関係機関との調整を行うことで、障害のある方と企業とのマッチングを促進しています。
このように障害者就業・生活支援センターは、利用者や企業への個別支援だけでなく、地域における障害者就労支援の中核的な役割を担う機関といえるでしょう。
参考:厚生労働省「専門人材の役割と職務の整理表」
就労への第一歩を踏み出したい方は就労継続支援B型事業所就労センターへ

障害者就業・生活支援センターは就職や職場定着に関する相談を行う機関ですが、「就労支援機関を利用したが、一般就労はハードルが高かった」という方もいるでしょう。
そのような方には、就労継続支援B型事業所の利用も選択肢の一つです。
就労センターは、週1回・半日から利用でき、障害や体調に合わせて無理のないペースで作業に取り組みながら、働く習慣や社会とのつながりを築くことができます。
各事業所には個室を完備しており、周囲を気にせず落ち着いた環境で作業に取り組めます。作業内容も軽作業からパソコンを使った作業まで幅広く用意しているため、自分の興味や得意なこと、体調に合わせて取り組むことが可能です。
また、就労だけでなく居場所づくりや地域生活の支援にも力を入れており、一人ひとりの状況に応じたサポートを受けられます。
「まずは自分のペースで社会参加したい」という方は、就労センターへの相談を検討してみてはいかがでしょうか。
よくある質問
Q.障害者就業・生活支援センターは就業中でも利用できますか?
利用可能です。
障害者就業・生活支援センターは、就職を希望する方だけでなく、現在働いている方も利用可能です。
職場の人間関係や業務上の悩み、職場定着に関する相談などを行うことができます。
Q.障害者就業・生活支援センターの利用に障害者手帳は必要ですか?
必ずしも障害者手帳が必要とは限りません。
障害や疾病により職業生活に課題や制限がある方であれば相談できる場合があります。ただし、利用条件は地域やセンターによって異なるため、事前に確認することをおすすめします。
Q.「中ぽつ」「就ぽつ」とはどういう意味ですか?
「中ぽつ」は障害者就業・生活支援センターの通称です。
正式名称が長いため、略称として関係者の間で「中ぽつ」「就ぽつ」と呼ばれています。
まとめ
障害者就業・生活支援センターは、障害のある方の就労と生活を総合的に支援する公的機関です。
就職に向けた相談や求職活動の支援だけでなく、就職後の職場定着支援や生活面の相談にも対応しています。また、障害者雇用に取り組む企業への支援も行っており、障害者と企業の双方をサポートする重要な役割を担っています。
就職や職場定着に不安を感じている方はもちろん、障害者雇用について相談したい企業も、まずはお近くの障害者就業・生活支援センターへ相談してみるとよいでしょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。














