- 地域活動センターって何をするところ?
- 誰でも利用できるの?料金はかかるの?
- 他のサービスや支援施設とは何が違うの?
この記事ではこれらの疑問について、詳しく解説します。
障害がある方の日中活動を支援する場に、就労継続支援A型・B型施設や就労移行支援施設、そして地域活動支援センターといったものがあります。
就労継続支援や就労移行支援は、就労に関連した支援をする施設と想像できますが、地域活動支援センターについては、どういうところなのか、何をするところなのかイメージしづらいかもしれません。
そこで今回は、地域活動支援センターの活動内容や対象者、利用方法などについて詳しく解説します。
目次
地域活動支援センターとは
地域活動支援センターでは、障害のある方に創作活動や生産活動の機会を提供するとともに、地域社会との交流などを行っています。
障害者総合支援法に基づいた施設で、障害のある方が地域で自立した日常生活がおくれるように支援する事業(地域支援事業)のひとつとして位置づけられています。
設置には10人以上の利用ができること、施設長1人、指導員2人以上の職員の配置が必要です。
地域活動支援センターの前身は「小規模作業所」と呼ばれる施設で、特別支援学校卒業後の就職が難しい人たちのために、軽作業や創作活動、地域交流などが行える場として、障害者団体や保護者たちが立ち上げて運営してきました。
それが2006年の「障害者自立支援法」施行によって、就労移行支援施設、就労継続支援A型・B型施設、地域活動支援センターに細分化され、障害者福祉サービス事業者への移行等によって、地域活動支援センターの利用者数、施設数は減少傾向にあります。
参考:厚生労働省
「地域活動支援センターの概要」
「地域活動支援センター等を活用した 地域共生社会の実現に向けた調査研究」
地域活動支援センターの種類・活動内容
地域活動支援センターは、基礎的事業と機能強化事業の2層構造で構築されています。
基礎的事業は共通の事業内容、機能強化事業はⅠ型、Ⅱ型、Ⅲ型の3タイプがあり、職員配置や事業内容、利用定員に違いがあります。

基礎的事業
地域活動支援センターの基本事業として、利用者さんに対し創作活動や生産活動などの機会や支援を提供しています。具体的な活動の内容は以下の通りです。
- 創作活動:手芸・工作・料理・書道・絵画・音楽・パソコン等
- 生産活動:軽作業(箱折り・封入等)・製造販売等
- 社会交流:地域清掃作業・地域のイベント参加
- 相談対応:日常の困りごとの相談
機能強化事業
基礎的事業に加えて、地域活動支援センターの機能をさらに充実させる事業です。Ⅰ型、Ⅱ型、Ⅲ型の3タイプに分かれます。
| 型 式 | Ⅰ型 | Ⅱ型 | Ⅲ型 |
|---|---|---|---|
| 事業内容 |
|
雇用・就労が困難な在宅障害者に対し、機能訓練や社会適応訓練、入浴等のサービスを実施します。 | 基本的にⅡ型と同じですが、運営にあたっては、通所による障害者支援の実績が5年以上あることが求められます。 |
| 職員配置 | 精神保健福祉士等の専門職員と3名以上の職員 | 3名以上の職員 | 2名以上の職員 |
| 1日あたりの利用定員 | 20名以上 | 15名以上 | 10名以上 |
| センター数 ※1,046市町村(令和5年度) |
756ヵ所 | 504ヵ所 | 1,174ヵ所 |
参考:厚生労働省「地域活動支援センターの概要」
地域活動支援センターを利用するメリットと利用方法

地域活動支援センターを利用するには、どのように手続きをすればよいのでしょうか。利用するメリットと共に利用方法や条件・料金などについて見ていきましょう。
地域活動センターを利用するメリット
基礎的事業に加えて、地域活動支援センターの機能をさらに充実させる事業です。Ⅰ型、Ⅱ型、Ⅲ型の3タイプに分かれます。
自宅以外に居場所ができる
自宅以外に日中の居場所ができることで、社会から孤立してしまうことが防げます。
通所することで生活リズムをつくれる
地域活動支援センターに通所し日中活動をすることで、生活リズムが整います。
プログラムに参加できる
地域活動支援センターでは、手芸や音楽、調理、絵画、外出などのプログラムが用意され、気軽に参加することができます。SST(コミュニケーションなどの社会生活に必要なスキルを習得するトレーニング)やパソコン講座を実施している事業所もあり、様々なスキルが身につきます。
日常の困りごとを相談できる
日常生活の悩みごとや困りごとを(他の利用者さんとうまく関われない。なんとなく不安になる。体調に波があって通所しづらい等)スタッフに相談できます。
自由度が高い
就労系の障害者福祉事業所に比べて通所日数や活動参加の自由度が高いので、個人のペースで通いやすいでしょう。
利用方法
利用対象者
原則として、地域活動支援センターの対象者はセンター周辺にお住まいの障害がある方になりますが、センターや自治体によってはエリア外の方が利用できる場合もあります。
対象年齢は法的に定められていませんが、15歳以上、18歳以上としているセンターが多いようです。
利用条件と利用の流れ
利用条件はセンターによって異なりますが、いずれかの提示が必要になります。
- 障害者手帳
- 医師の意見書
- 障害福祉サービスの受給者証
- 自立支援医療受給者証 など
利用の流れ
- STEP1障害福祉担当課に相談するまずはお住まいの地域の障害福祉担当課窓口へお問合わせください。担当職員が聞き取りを行い、地域にある施設の利用手続きに必要な書類などについてアドバイスしてくれます。
- STEP2施設の見学利用したい地域活動支援センターの見学をします。
見学を通じて、そのセンターの活動内容や雰囲気、職員の対応などを事前に確認します。センターによっては体験利用できる場合もあるので、積極的に参加してみましょう。 - STEP3申請手続き施設見学の結果、利用を決めた場合は障害福祉担当課で申請手続きをします。
自治体やセンターによっては、利用のために障害福祉サービス受給者証などが必要となる場合があり、その手続きをします。 - STEP4認定調査申請手続き後、市区町村による調査が行われます。
市区町村の認定調査員が、利用回数や障害の状況、日常生活などについて利用者さん本人やご家族から聞き取り調査します。 - STEP5受給者証の発行・利用開始市区町村から利用許可が下りると受給者証が発行されます。受給者証を受け取ったら、利用する事業所と利用契約を結んで利用開始となります。
利用料
地域活動支援センターの利用料金は、基本的には無料のところが多いですが、プログラム(調理、手芸など)の材料の実費がかかる場合があります。センターによって異なりますので、見学の際に確認しましょう。
地域活動支援センターと他の施設の違い

地域活動支援センターと、他の施設にはそれぞれ役割やサービスに違いがあります。どのような違いがあるのかみてみましょう。
就労継続支援A、B型事業所
就労継続支援A、B型事業所と地域活動支援センターの大きな違いは、地域活動支援センターは利用目的の自由度が高く、居場所的な場であるのに対して、就労継続支援A・B型事業所は、働くことを目的としている場であるという点です。
A型は雇用契約を結び、最低賃金が保障されるかわりに、勤務日数や時間などに条件が定められ、ある程度安定して勤務することが求められます。
一方、B型は雇用契約は結ばず、体調や障害に合わせた個人のペースで利用することができ、作業に応じた工賃が支払われます。
就労移行支援事業所
就労移行支援事業所と地域活動支援センターとの大きな違いは、その対象者です。
地域活動支援センターはセンターの地域に住む障害のある方が対象で、年齢制限がないのに対し、就労移行支援事業所は、一般企業への就労を目指す65歳未満の障害のある方を対象としており、一般企業への就労に必要なスキルを身に付ける訓練をしたり、就職の支援を行っています。
また、地域活動支援センターに利用期限がないのに対して、就労移行支援事業所は原則2年間の利用期限があります。
障害者就業・生活支援センター
障害者就業・生活支援センターと地域活動支援センターの違いは、地域活動支援センターは利用者さんに生産活動や創作活動等の機会を提供し、日中活動を支援する機関ですが、障害者就業・生活支援センターは、就業に関する事や日常生活全般に関する支援や助言を行う機関であるということです。
充実した生活を送れるよう個々のニーズに応じたサポートを提供しています。
発達障害者支援センター
発達障害者支援センターと地域活動支援センターの違いは、利用対象者に違いがあります。地域活動支援センターは、地域に住む障害がある方が対象ですが、発達障害者支援センターの利用対象者は発達障害のある方です。
発達障害がある方やそのご家族を保健、医療、福祉、教育などの機関と連携しながら、様々な相談に応じ、指導と助言を行っています。
地域包括支援センター
地域包括支援センターと地域活動支援センターの違いは、地域活動支援センターは障害者総合支援法に基づく機関であるのに対し、地域包括支援センターは介護保険法に基づく高齢者をサポートする機関である点です。
地域包括支援センターでは、高齢者の健康、介護、福祉といった総合的な相談を受け付ける窓口となっています。
精神科デイケアサービス
精神科デイケアサービスと地域活動支援センターの違いは、地域活動支援センターで提供するサービスは福祉サービスであるのに対して、精神科デイケアサービスは、精神科や心療内科などで行う医療サービスであるということです。
精神障害・発達障害がある方が、様々なプログラムを通して社会生活機能の回復を目指していきます。
地域活動支援センターの利用事例
就労センターの利用者さんの中にも、且つて地域活動支援センターを利用されていた方がたくさんいらっしゃいます。ここでは3名の利用者さんの事例をご紹介します。
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Aさん 男性40代の場合利用開始前:Aさんは20代から会社勤めしていましたが、5年前に鬱病の診断を受け、1年間休職したのちに退職することになりました。自宅療養を続けるうちに少しづつ状態が落ち着いてきたので、何か仕事をしたい気持ちはありますが、急激な環境変化には不安を感じていました。
利用開始:Aさんのご希望は「まずは週3日の通所からはじめ、毎日通所できるようになる」「いずれ仕事に復帰したい」「センターでは軽作業をして過ごしたい」でした。そのような思いで地域活動センターに通い始めました。
半年後:週3~5日のペースで通所し、軽作業に取り組んだり、パソコン講座などに参加しました。仕事復帰は希望されているものの急激な環境変化にはまだ不安があるため、一般就労の前に就労継続支援B型事業所である就労センターへ移行することになりました。 -
Bさん 女性50代の場合利用開始前:専業主婦のBさんは、統合失調症があり精神障害者保健福祉手帳3級を所持していました。薬の調整ができているので日常生活は大きな問題なく過ごせていましたが、家にこもりがちなため、夫の勧めで利用を検討されていました。
利用開始:Bさんのご希望は「家事があるため15時までには帰宅したい」「週2日程度通所したい」「調理や手芸のプログラムに参加したい」でした。
半年後:地域活動支援センター利用開始して通所に慣れたBさんは「週3、4日くらいで軽作業の仕事がしたい」と希望され、現在、就労センターに通所しています。 -
Cさん 男性20代の場合利用開始前:Cさんは中学2年生から不登校になりました。通信制の高校に入学しましたがすぐに中退。そのころ精神科の受診によって発達障害があることが分かりました。自宅にこもりがちなうえ、何かのきっかけで精神的に不安定になることがあり、母親の勧めで利用を検討されていました。
利用開始:Cさんのご希望は「パソコンがやりたい」「外出プログラムに参加したい」「軽作業がしたい」でした。
半年後:地域活動支援センターの通所で自信がついたCさんは、就労継続支援B型事業所への移行を希望され、現在はパソコン作業が豊富な就労センターに通所し、データ入力作業や不動産サイトの運営に携わっています。
就労センターは自分のペースで働けるB型事業所です

ここまで地域活動支援センターについて解説してきましたが、地域活動支援センターと就労継続支援B型事業所にはいくつか類似点があります。
「軽作業」「通所日数が柔軟に対応できる」「パソコン」「個人のペース」、これらは地域活動支援センターと就労継続支援B型事業所の類似点を示すキーワードです。
地域活動支援センターは個人の自由度が高いと先述しましたが、プログラム中心に利用される方もいれば、プログラム+軽作業、あるいは軽作業中心に利用される方もいて、軽作業は意外に人気があるのです。
また、利用者さんの中で身に着けたいスキルのひとつにあがるのがパソコンです。多くの地域活動支援センターでパソコンのプログラムを取り入れていますし、就労継続支援B型事業所ではパソコン作業を希望される方が増えています。
就労継続支援B型事業所の就労センターでは「軽作業」「通所日数が柔軟に対応できる」「パソコン作業」「個人のペース」、これらを希望される方に対応しております。
就労センターの主な特徴は以下の通りです。
週1回半日から利用できる
就労センターは週1回半日から利用する事ができ、多くの利用者さんが体調や体力を考慮した自由な働き方をされています。
簡単な作業が多い
種類豊富な簡単に取り組める軽作業をご用意しています。
- 組立作業(文房具や小物などの組立)
- ダイレクトメール作業(宛名ラベル貼り、封入作業)
- 入浴剤製造検品・貼り付け作業
- 野菜の袋入れ・パック詰め等
パソコン作業もできる
就労センターでは、組立て等の簡単な作業に加え、データ入力や編集などのパソコン作業まで幅広いお仕事をご用意しています。
クリエイティブ・デザイン系とタスク系、両方のパソコン作業を取り扱っているため、利用者さんの希望に合わせて、無理なく行えるパソコン作業をご案内しております。
コミュニケーションが苦手な人でも通いやすい
「コミュニケーションが苦手」「人と接するのが怖い」「ひとりで作業がしたい」という人のために、1事業所あたり10部屋以上の個室空間をご用意しており、利用者さんがストレスなく落ち着いて作業できる環境づくりに努めています。
就職に向けてスキルアップできる
就労センターと一般企業が業務委託契約を結び、その企業に出向いて作業を行う施設外就労にも取り組んでいます。
一般企業内での作業になりますので、一般就労に近い形で働くことができ、ビジネスにおける挨拶やコミュニケーションなどの社会性を身に付けることができます。
まとめ
本記事では、地域活動支援センターについて詳しく紹介しました。
利用を検討する際は、「通いやすい場所であるか」「雰囲気やプログラムなどは希望する条件にあてはまるか」などをチェックしましょう。通いづらかったり、希望が合わないと通所が億劫になってしまうものです。
また、近くに地域活動支援センターがない場合や、いずれ就労を希望されている方は、就労継続支援B型事業所の利用も視野に入れて見学、体験してみるのも良いかもしれません。
最後までお読みいただきありがとうございました。

障害者総合支援法に基づく地域活動支援センターにて、精神障害や発達障害などをかかえる方に対し社会適応訓練(SST)や創作活動などを通じた支援に精神保健福祉士・社会福祉士として約10年間従事。その知識・経験を活かし、障害福祉分野における啓蒙活動に取り組んでいる。

2014年に行政書士資格取得後、行政書士法人にて研鑽を積み、2016年から障害福祉分野に注力。福祉事業所には欠かせない都道府県・市町村への各種申請件数は100件以上。
また、福祉施策調査を実施し、障害福祉事業所に対し、運営提言も行っている。「行政書士ありもと法律事務所」の代表行政書士でもある。















